あらすじ
小さな牛は、大きな牛に「あっち いけ!」と言われて、心が狭くなってしまった。
いろんな動物たちに、心ない言葉を浴びせかけていく牛……。
そんな牛の前に、やぎは、牛を「いじめっこ」と指摘する……。
悪意は悪意を呼び寄せる
大きな牛に、「あっちいけ!」と言われたことで、小さな牛は心ない言葉を言うようになってしまう。
まさに、悪意が悪意を呼んでしまったという感じである。
いろんな動物に、心ない言葉をぶつけていく小さな牛。大きな牛に意地悪を言われたことで、心が傷つき、そのストレスをほかにぶつけることでストレスを緩和していたのかもしれない。だが、悪意をぶつけられた周りはたまったものではない。
心ない言葉をはくたびに、ずんずん大きくなっていく小さな牛。
何かを示唆するかのようだ。
悪意の鎧をまとった牛は、自分が強くなった気分になっていたのかもいれない。
そんな牛に、面と向かって、やぎがいう。「いじめ~っこ」と。
言われた牛は、ハッとする。
いじめっこ……自分はいじめっこ……。
衝撃をうけた牛はするすると元の大きさになって、みんなに謝るのだ。
牛は、いじめっこになりたくて心のない言葉をはいていたのではなかった。
本当は心が傷ついていただけなのだ。でも、自分が傷ついたことを、今度は自分が周りにやっていると指摘されて、衝撃を受けたのである。
しかし、みんに謝って、みんなは許してくれた。
彼は心の底からいじめっこにならずにすんだのである。
悪意は跳ね返ってくること。
知らないうちに悪意に染まって、自分自身も変容してしまうことだってあること……
この絵本は、シンプルな内容でそんな大切なことを教えてくれる。
会話文だけで進んでいく絵本
会話文というか、一言だけの吹き出しで話が進んでいく。とてもシンプルである。
幼児向け。