あらすじ
世界の誰よりも目がいい三兄弟がいた。
その目のよさは本当にすばらしく、噂を聞きつけた王様は、三人兄弟を門番として召し抱えることとした。
あんまり目がいいので、気をよくした王様は、こんなおふれを出した。
三人兄弟の目を欺けたものには、ダイアモンドをあしらった金のメダルを与える。
いろんな人が挑戦したが、結果はみんな失敗。
三人兄弟の目を欺ける人はこの世界に存在するのだろうか……?
世界中の誰よりも目がいい……
世界中の誰よりも目がいい三兄弟がいた。
この兄弟、どれだけ目がいいかというと、それはもう、人間とは思えない領域の目の良さだった。
一番下の弟は、通りの先を歩く人の「ポケットの中にある」お金の年号を読むことができるほど目がよかった。
真ん中の兄さんは、「目をつぶったまま」、通りのずっと先にいる、ちっちゃなちょうちょの目に付いたごまつぶほどの斑点を見ることができるほど目がよかった。
そして一番上の兄さんは、真夜中に「分厚い目隠しをしたまま」、ずっとずっと通りの先の鍵のかかった部屋の中にある閉じた本の中身を読むことができるほど目がよかった。
あのう……
それは目がいいというか、千里眼や透視といったたぐいのものでは……?
そんなこんなで目がいい三兄弟。
噂を聞きつけ、王様が三兄弟を白の番人に引き立てた。
そしてあんまりこの三人がすごいので自慢したくなったのか、王様はこんなおふれを出した。
もし 三人を だませた ものには、ダイアモンドを あしらった 金のメダルを おくることに する。
王様っていうのはお話ではたいてい、いらんことをするものだが、本書の王様もいらんことをする。
金のメダルがほしい人たちは、三人兄弟の目を欺こうと、あれこれ挑戦するのだが、いずれも失敗。三人兄弟の目にかなう人はいなかった。
まあ、透視に千里眼だもんな……。
おれらひょっとしたらすごいんじゃね?と思い始めた三人兄弟は、今までみたいに笑っているより、ちょっとまじめそうな顔をしてたっていた方が様になるんじゃないか、などと余計な気を使い始めた。
そんなわけで、三人兄弟は、今までと違って、つんとまじめそうな顔をして偉ぶった様子で立つことにした。
それが一等気に入らなかったのは、王子様の遊び相手としてお城にあがっていた少年、ガレスピーだった。
今まで笑顔で挨拶していた仲だったのに、いきなりつんと澄まされて偉そうに振る舞われたのでなんかショックだったのだ。ガレスピー少年は、三人兄弟の鼻をあかしてやると、兄弟の目を欺くことに決めた。
そうして始まる、ガレスピー少年の挑戦。
少年の計画に、三人兄弟はあれよあれよとだまされて……少年は見事、金のメダルを獲得するにいたる。
それから、三人兄弟はどうなったのかというと……
やっぱ澄ましてるのより、笑ってたほうが楽でいい気持ちだから澄ますのはやめようか、といつも通りに戻ったのであった。
ちなみに、番人はクビにはならなかったそうだ。
すごい目を持つ番人の目を欺く、少年の鮮やかな手並み。
末恐ろしい少年であることよ……。
字が大きめの児童書
字が大きい。児童書だが、読み終わるのにそんなに時間がかからない。ただカタカナはそのまま使われているので、カタカナを習ってからが対象だろう。低学年向け。