あらすじ
モリオくんは、妖怪博士のもとを訪れました。
家の屋根裏に妖怪がいるようだったからだ。
博士は、任せなさいと快く返事をして、モリオくんとともにモリオくんの家に向かう。
そこで出会うのは、妖怪たち……？
ちょっと変わった博士と一緒に、屋根裏にいる妖怪を見に行こう。
日本古来の妖怪が登場するよ
妖怪博士の元を訪れた、モリオ。
実は相談したいことがあった。
どうも家の屋根裏に、妖怪がいるようなのだ。
妖怪博士に調査を頼むと、博士は二つ返事で引き受けてくれる。
ほほう、屋根裏に妖怪とは気味が悪くて仕方なかろう。
この博士が何とか解決してくれるお話なんだな、と思ったら展開は思わぬ方向に進んでいく。
モリオの家につくと、早速妖怪博士が言う。
「ここが きみのいえか。
たしかに 妖気が ただよっている」
本格派である。胡散臭いとかいってはいけない。
家に入ると、飛び出してきた何か。
妖怪博士は「ねこまた」だ、と言うがモリオは冷静にツッコミを入れる。
「はかせ、ちがいます。
これは ねこの ミルクです」
まあ、人は誰しも間違えるものだ。
気を取り直して、階段をあがると、暗がりから何かが登場。
ムムッ、これは「おしろいばばあ」だ！
しかしモリオくんは冷静に、訂正する。
これはお母さんです、と。
ばばあ呼ばわりされたお母さんは不機嫌そうだ。当然である。
今度は屋根裏から、奇妙な声が！
これは「こなきじじい」に違いない……。
屋根裏に登ると、隠れていたのはなんと……
妖怪とうふこぞうだった！
とうふこぞうと言えば、とうふを持っている妖怪で、あまり害のない妖怪である。
妖怪博士の見立てはことごとくはずれたわけだが……。
とうふこぞうは屋根裏部屋でなにをしていたの？というと、彼は、人間におびえていたのだという。人間は恐ろしいものだと本に書いてあるらしい。
博士は、妖怪が人間を怖がってどうする、怖がらせるのは妖怪じゃないか、と言う。しかしとうふこぞうはいたって無害な妖怪だからか、人間は怖がってくれないのだという。
それを聞いた博士は──
呪文をとなえ、とうふこぞうを怖い妖怪に変えた。
え、ど、どういうこと！？
ここにきて、まさかの博士の変貌である。
とうふこぞうを怖い妖怪に変身させるつもりが、失敗。
博士は、めげずに、さらに強力な呪文をとなえ再トライ。
モリオくん、いきなりの博士の変貌にツッコミはないのか……。
強力な呪文の結果……
なんと、
モリオくんが一つ目小僧になった。
博士、何者！！！！？？？
自分の姿を見たモリオくんは、
「はかせ、これは あんまりです。
はやく なんとか してください」
モリオくん冷静すぎるだろう……。
そのとき、妖怪たちがわらわら窓から入ってきた。
とうふこぞうを探していたらしい。
とうふこぞうは去っていき、残されたのは博士とモリオくん。
モリオくんは博士に抗議する。元の姿に戻してくれ、と。当然である。どこまでも冷静なモリオくんである……。
すると博士は呪文をとなえ、元の姿に戻った……
と思ったら、元の姿に戻ったのはモリオくんだけではなかった。
なんと、博士の姿も元に戻っていた。彼の正体は、たぬきだったのである。
なるほど、だから、ひとを変身させたり元に戻したりできたのかー。
「ごめんなさい。
ぼくは 妖怪の たぬきち。
なつやすみの しゅくだいで、
えらそうな にんげんに ばけていたの」
それから、たぬきちとモリオくんはいっしょに変身術の勉強をし、モリオくんも変身できるようになったとか……。
最初、博士が呪文を唱え始めたときは、どういうこと！？となったが、正体がわかってすっきりした。
日本古来の妖怪たちが登場
文章量はふつう。
幼児、低学年向け。
妖怪好きな子は楽しんで読めるだろう。
