あらすじ
砂漠にすんでいる悪魔は、とても食いしん坊。
人間を見つけると、まるのみににしてしまう。
しかし、この悪魔のおなかにはチャックがついていて……。
砂漠にすんでいる悪魔よ、どこへ行く
砂漠にすんでいる悪魔。彼はとても食いしん坊で、人間を見つけるとひとのみにしてしまうという。
どんな恐ろしい悪魔かと思えば、顔はコウモリに似ていて、おなかになぜかチャックがついていた。なんだこりゃ。コウモリ似はいいけど、なんでおなかにチャックがついているのだ。これでは着ぐるみみたいである。
この悪魔、早速人間を見つけて、ひとのみ。
おそろしい。
着ぐるみ悪魔だけどおそろしい。
悪魔はそれでもおなかが減っていたような気がしたので、偶然通りがかった少年を丸飲みすることにした。
少年をぺろんとひとのみしようとしたら、少年はいきなり叫んだ。
「あっ、ひこうきだ!」
おう? と悪魔がよそ見している間に、少年は悪魔のおなかに縦に走ったチャックをジジジーと開けた。すると中から……
さっき食べられたはずの人間がぽろん。
ひとのみで飲み込んだから、そのまま出てきたのであった。
それから、少年と助けられた人間は、悪魔のチャックを裏返しにして……押し込んで……ボール状にしてチャックをしめた。
う、裏返し……
リアルに考えると恐ろしいが、リアルに考えないことにする。
ボール状になった悪魔。
そこへ、砂漠の盗賊がやってくる。彼らは少年と助けられた人間に、金を出せと迫る。
少年、答えて曰く、
「ぼくたち、おかねは ないけれど、
たからものなら、この なかに ある。」
そういってオススメしたのが、さっきのボールになった悪魔である。
少年、なんでもないような顔をしてしれっとこういうことを言う。末恐ろしい少年だ。
お宝があると聞かされた盗賊たちは、これはほっておけないと、早速チャックをを開ける。こんにちは!と出てきたのはさっきの悪魔だ。どひゃあ。
悪魔は復活し、盗賊のお頭をひとのみ……。手下どもは泡を食って逃げていく。
盗賊のお頭は食べられたままなのか……と思ったら、チャックがあいたままだったので、おなかからお頭がころん。死んでなかった。よかった。さすがに死んでたら夢見悪いもんな。
それから悪魔はどうなったのか?
さーっと吹いてきた風に吹かれて、どこぞへ飛んでいったそうな……。
悪魔、自分でチャックをしめるとかできないのかな……。
砂漠で起きた事件
独特な世界観がありそうでなさそうな不思議な感覚を与えてくれる一冊。
チャックつき悪魔のデザインが斬新。
幼児、低学年向け。