あらすじ
テルさんは、日の降り注ぐ、すてきな地面を持っていた。
大親友のモンさんは旅に出ていて、その間、モンさんのイスを預かっている。
テルさんにはやめられない趣味があった。
それは毎週火曜日に催される、「ボタンゲーム」。
単純なゲームだけど、テルさんは大好きだった。
しかし、このゲームに負けると、持っているものを勝った人にあげなければならないとルールがあった。
持っている地面以外はあらかた賭けに負けてあげてしまったテルさん。
暗く沈んだ毎日を送っていたが、そこへ、モンさんが帰ってきて……。
ハマったら怖い「ボタンゲーム」
テルさんは、日が降り注ぐ、大きくてすてきな地面をもっていた。
ここで早速、地面を持っているとは……?と疑問に思えてくるのだが、ここは土地を持っていると解釈しておく。実はそうでもないことが後になってわかるのだけど……。
ところでテルさんには、旅に出ている大親友のモンさんがいて、そのモンさんのイスを大切に預かっていた。留守を預かるのではなく、イスを預かるという変わった状況である。高価なイスなのだろうか。見た感じはそんな高価そうなイスではないのだが。
テルさんはそんなわけですてきな地面を持ち、イスを預かりながら、毎日楽しく過ごしていたのだが、テルさんにはひとつの楽しみがあった。毎週火曜日に開かれる、「ボタンゲーム」への参加だ。
この「ボタンゲーム」、何人かが集まってするゲーム。親が参加者全員の手を握っていき、そのとき、こっそり一つのボタンをみんなにはわからないように誰かに握らせる。
そしてその誰かを当てるというゲームだ。
テルさんはそのゲームに毎週火曜日、参加していた。
しかし、このゲーム、外してしまうと、自分の持ち物をひとつ、当てた人にあげなければならない。そんなルールがあった。
テルさんは負けが続いてしまって、もう賭ける持ち物がなくなってしまった。親友のイスを賭けようか、とチラッと思うが、いやいやいやと何とか踏みとどまる。しかしテルさんは、自分の持っている地面をちょっとずつ、賭けはじめてしまったのだ。
……と、すると、土地を失ってしまうのか?となるのだが、どうにもそうではないらしい。とられた土面は上っ面の部分だけ。カーペットの一部を切り取ったように持っていくのだ。土地自体はそのまま残っている。
テルさんの地面は穴ぼこだらけになってしまった。
テルさんはいつも、みんなのみごとな演技に
ころりとだまされてしまうのです。
これでは、当てられる見込みはありません。
それでもテルさんは、
どうしてもゲームに参加したいのです。
どうしてそんなに参加したいのか、何か理由があるのか。
一言で言ってしまうと、本文では明らかにされない。
理由がはっきりしないので──
正直、冷静になって考えると、テルさん、ただのギャンブル好き……というかちょっとギャンブルにのめり込んでいる人のそれである……。
暗い気分で日々を過ごすテルさん。
そこに、旅に出ていたモンさんが帰ってきた。
再会を喜ぶ二人。
しかし、モンさんは、テルさんの地面が穴ぼこだらけで、見るも無惨な状況を見て、すべてを察する。
モンさんは、そんな穴だらけのテルさんの地面に、こっそり種を蒔く。
それから、しばらくたって、モンさんはまた、旅に出た。
モンさんが旅だった後、テルさんの地面から、芽が出てきた。モンさんが蒔いた種から、芽が出てきたのである。モンさんは、その芽を大切に育てた。芽は、立派な木になって、たくさんの芽をつけるまでになった。
モンさんが残してくれた木だよ。大切にしようね……。
と思ったら、本文は違った。
これだけの木の実があれば、
何十回、いえいえ何百回はずれても、
ボタンゲームに参加することができるでしょう。
えええええええ……
モンさん、そのために木の種植えたのかなぁ……
というか、テルさん、もういい加減賭事やめなよ……。
「ボタンゲーム」とかふわっとした名前になってるけど、ギャンブルだからね。モンさんもテルさんをちょっといさめたりとかそういうのなかったの……。
なんだか、ナチュラルにギャンブルをやめられない人の心境を見るような絵本だった……。
個性的な絵と「ボタンゲーム」
個性的な絵で描かれる世界は独特だ。
「ボタンゲーム」というゲームはどう考えても賭事なのだが、最後に友達が残してくれた木の実で賭の元手が増えたと喜ぶ結末は……うーん? それでいいのかなあ……。
対象は低学年から。
字が小さく、文章量も多い。