あらすじ
あるところに三匹の小さなドラゴンがいた。
ある夜、騎士が塀の上の見張り番をしていたら、遠くから鳴き声が聞こえてきた。騎士は何事かと馬で駆けつけると、ドラゴンのうち一匹が言った。
のどが渇いていて眠れないから水を飲ませてほしい、と。
心優しい騎士は言うとおりにしてあげて、ベッドに寝かせてあげた。
そして見張りに帰ってきた騎士。
しかししばらくしないうちにまた鳴き声が聞こえてきて……。
優しい騎士と、眠れない寂しがり屋の三匹のドラゴン
堅物できまじめな騎士が、寂しがり屋の三匹のドラゴンに振り回されるお話である。
夜、見張りにたっていた騎士。
そこに、謎の鳴き声が聞こえてきた。すわ何事かと声のしたほうに駆けつけると、そこには一匹の小さなドラゴンが。
パジャマをきたドラゴンはこう言った。
「おいらに、みずを
もってきて おくれよ。
のどが かわいて
ねむれないんだい」
そんなん知らんがな。
……とは騎士は言わずに、親切に水を飲ませてやる。
それからベッドにいれてあげて、優しい言葉をかけて帰るのだ。
なんというすてきな騎士……。
しかし、話はそれだけでは終わらなかった。
この騎士が見張りに立つたびに、ドラゴンが鳴いて呼ぶからたまったものじゃない。
やれまだのどが渇いているだの、眠れないからお話を読んでくれだの、眠れないから歌を歌ってくれだの……そのたびに騎士は親切にすべてやってあげるのだ。
だけど何度も何度も「眠れない」と呼び出されるので、次第に騎士の広い心も狭くなってくる。眠るまでそこにいればいいのではと思えてくるが、見張りの番をおろそかにするわけにはいかないのだろう。
最後の最後に呼び出された騎士。
もうまたか!とあきれ気味。
彼らドラゴンの最後のお願いはなんだったか?
そう、おやすみのキスをして!
そんなんしらんがなー!
しかし優しい騎士は、ドラゴンをベッドにいれて、頬にキスしてあげるのだ。
騎士、最後までいい騎士だった……。
言葉遊びを盛り込み、リズミカルに仕上がった文章は読んでいて楽しい。
ただ同じ展開が何回も繰り返されるので、作中の騎士のように、もう!となる。騎士の人の良さがなんとも心温まってくる作品。
韻を踏んだ文章と、小気味よい展開
読みやすく分かりやすい展開で、読むのにそんなに時間はかからない。児童書だが物語性はあまりない。
横書き。
低学年からが対象だろう。