あらすじ
ミライのミイラは、悠々自適な生活を送っていた。
スーパー科学者なミライのミイラは、いろんなものをスーパーにしたり、おもしろそうと思ったことはすぐに実行したりして、楽しく生活していたのだった。
だが最近、そんなミライのミイラは考え込むようになってしまった。
それは、博物館でみた、石版に書かれたことに理由があったのだ……。
アナグラムで楽しむ、言葉遊びの面も兼ねた絵本。
アナグラムをふんだんに取り入れた物語
アナグラムをところどころにくみ込んだ、言葉遊びの絵本。
アナグラムの部分が分かりやすくなるように、アナグラムしている単語をカタカナにしている。ミライのミイラ、というように。
ハハハ、おもしろい。……と思ったのは最初のほうで、おとなな目線を持ってしまった私には、だんだん、カタカナがアナグラムで……えーと、そのう、だから……と目がチカチカ頭がくらくらしてきて、うーんうーんもうアナグラムはいらない……となってきてしまった。頭を使いながら本を読むのがそんなに苦手なのか、私は。
ミライのミイラは一人で悠々自適に暮らしているらしい。
ミイラのクラシは ミイラ ラシク、とあるが、とても贅沢な暮らしをしているようだ。一度死んでミイラになっても、身分はそのままなのか……。いや、そもそもミイラから目覚めたのだから永遠の命を得たということになるのだろうか。
ミイラはスーパー科学者で、おもしろいと思ったことはいろいろ試して日々を過ごしているようだ。宇宙に行きたいと思ったら、すぐにロケットに乗って遊びに行く。
そんなおもしろおかしい毎日を送っていたミイラだが、最近になって元気がなくなってきた。それはなぜか? 博物館で石版に書かれていた文字を読んだら、自分のことだとわかったからだ。
むすこよ。いつのひか
ねむりから さめたら
わたしたちのもとへ
かえっておいで。でも、ネムリから
さめるのは ムリネ……
なんでこんなところにまでアナグラムを仕込むのか。
ミイラは思い出した。両親のこと……。幸せだったときのこと……。
そうすると会いたくなってきたのだ。
そして、ミイラは、タイムマシンを作って、幸せだった時代に帰ることにしたのだった。
タイムパラドックスが……とか、歴史を変えてはならないとかいう暗黙の了解そっちのけの展開である。
果たして、彼は、タイムマシンに乗って、両親に会いに行く。
なぜか、時代をさかのぼるごとに、包帯ぐるぐる巻きだったミイラが人間の姿に変わっていく。
ミライのミイラが
ついたのは、
じぶんが いきていた
じだい。
えっ……自分が生きていた時代に戻ったら、自分と鉢合わせしたらえらいことになるけど大丈夫なのそこ……。
でもミライのミイラは幸せに暮らしたというらしいから、めでたしめでたし……なのだろうか……。
アナグラムを詰めに詰めたせいか、話にちょっと無理がでてきてツッコミ無用な感じになっている。物語に直接関係ない部分も多くみられる。
絵の色が派手で鮮やかで、本文以外にもアナグラムがぎっしり。そのためか、謎の勢いがでてきていて、緩急の「緩」がどこかに吹き飛んだ感じである。
楽しく、おもしろく!
アナグラムの楽しさを存分に伝える絵本だ。
アナグラムを楽しもう
たぶんメインの楽しみ方はアナグラムを見つけることなのだろう。
話自体はだいぶ無理のある展開をする。
低学年向け。