絵本の森

『いぶりがっこちゃん』──かくれんぼがいつの間にか……

あらすじ

いぶりがっこちゃんと、たちねぶたくんはかくれんぼすることにしました。
鬼を決めることになったのですが、怖い顔をしたほうが鬼ということにしました。すると、たちねぶたくんがとても怖い顔をしたので、いぶりがっこちゃゃんは泣いてしまいました。

いぶりがっこちゃんに泣きやんでほしいたちねぶたくんは、鬼をやらせてあげると言います。
いぶりがっこちゃんは鬼になりました。

さて、早速、鬼を始めるいぶりがっこちゃんでしたが……。

 

かくれんぼしていたのに……

いぶりがっこちゃんという、アヒルのような生き物が登場する。たぶん、アヒルだと思うのだが、個性的な絵柄のため、頭に「おそらく」がついてしまう。

いぶりがっこちゃん、名前にもあるとおり、いぶりがっこが大好き。がりがりがじがじかじっているのだとか。私はいぶりがっこを食べたことがないのでイメージ検索で味や堅さを想像するだけだが、いぶりがっこ大好きというのは渋い趣味の範疇ではないかと思ったりする。

そんないぶりがっこちゃん。
たちねぶたくんとおにごっこすることに。

たちねぶた。
すごいネーミングセンスである。そのまま、彼はぶたである。

かくれんぼをしようということで、鬼を決めようとする二人。しかしどっちもが鬼をやりたい。
そこで鬼っていうものは怖いものでしょ、と怖い顔をしてどちらが怖いかで鬼を決めることにする。

 

ふつうにじゃんけんで決めようよ……。

 

怖いにらめっこで勝利したのは、最終奥義で「なまはげ」のまねを出したたちねぶたくん。
あんまりの衝撃に、いぶりがっこちゃんは泣いてしまったのだ。
私も突如、なまはげと対峙しようとは思わなかった。

泣かせてしまったお詫びに、たちねぶたくんは、鬼をやらせてあげるといぶりがっこちゃんに言う。すると、今まで泣いていたいぶりがっこちゃん、「けろ!」となきやむ。
よもや、嘘泣きではあるまいな……。

 

鬼になったいぶりがっこちゃん、数を数え始める。

1・2・3・4・5・6・7・20・・・
もう いいかい!

アカンがな。7から20ってえらい飛んどるがな。

 

これにはたちねぶたくんもツッコミをいれ、正しい鬼のやり方を実践して教えてくれる。……あれ、これって結局、たちねぶたくんが鬼をやっているのと変わらないのでは……?

 

そんなこんなでかくれんぼ再開。
いふりがっこちゃんは隠れる。たちねぶたくんは探し始める。
ガリガリという音を聞きつけて行ってみれば、そこではガリガリといぶりがっこをかじっているいぶりがっこちゃんの姿が!

いぶりがっこちゃん……。

 

そうして二人でいぶりがっこを仲良くがじがじ。
よかったね。……という話なのだが、このいぶりがっこちゃんのマイペースさ、おもしろいなあ……。

 

だいたい、名前(あだ名?)が好物のいぶりがっこって、どうしたのそのセンス……という感じである。

 

当初の目的はどこへやら

当初のかくれんぼはどこへやら、の結末を迎えるこの本。興味の移り方が子どもらしくてほほえましい。
いぶりがっこちゃんは結構したたかさを感じるけれど、なぜだかかわいく見えてしまう。得している子である。
幼児向け。