あらすじ
ハエを飲み込んだおばあさんがいました。
なぜハエを飲み込んだのかはわかりません。
でもおばあさんは、ハエを何とかしようと、次に蜘蛛を飲み込んだのです……!
奇想天外な展開に、呆然とする本。
いろんなものを飲み込んだおばあさん
タイトルからしていやな予感しかしないのだが、思わず手にとってしまう、トンデモ絵本大好きな私だ。
タイトルのとおり、ハエを飲み込んだおばあさんが出てくる。
どうして飲み込んだのかはわからないという。
まあ、なんていうか、間違って飲み込んだか、食べるつもりで飲み込んだ可能性ぐらいしか思い当たらないが、この絵本ではページに穴をあけて、おばあさんのおなかの中にハエがいるところを表現している。
ハエを飲み込んでしまったおばあさん。
どうして飲み込んだのかわからない。
本文は、こう続く。
おばあさん、しんじゃうのかもしれないね。
死……。
いきなりの軽いジャブにポカンである。
ハエを飲み込んだぐらいで死ぬのだろうか……。と不安になりながらページをめくると、おばあさん、蜘蛛を飲み込んでいる。
なぜ……!?
なぜかというと、おなかの中のハエを捕まえてもらおうと思ったからだという。
おおなかのなかで、蜘蛛がもぞもぞ動いて、おばあさんはくすぐったい。本文はこう続く。
おばあさん、しんじゃうのかもしれないね。
だからやめようよ!
不吉だよ!
おばあさん、次に鳥を飲み込む。
なぜかというと、おなかの中の蜘蛛を鳥に捕まえてもらおうと思ったから。
そうやって、おばあさんは、いろんなものを飲み込んでいく。
ねこ、いぬ、うし……。
おいおい、本当におばあさんしんじゃうよ……。
そして、おばあさんは、うしを何とかするために、馬を飲み込んだ。
すると……
もちろん! おばあさんはしんじゃった。
死んだー!
しかも、「もちろん」とかひどい話である。
ページには飲み込んだ動物たちか描かれていて、彼らがそれぞれ一言言い添えるのだが、「おくやみもうしあげます」とか「さびしくなりますね」とか、ぜんぜん悲しくなさそうな顔して言い添えているので何ともいえない気分になる。
なんだ、なんだ、このブラックで呆然とする絵本は。
どういうことなの……と思ったら、この「ハエを飲み込んだおばあさん」、アメリカで愛され歌いつがれている歌なのだそうな。
なるほど、だから(というのもなんだけど)追随を許さないシュールさなのね……。
なんとまあ、ブラックな終わり方である。
歌が元だからか
歌が元になっているためか、本文のテンポがよく、軽快。
読み方によっては盛り上がる……だろうが、結末はこの通りブラックなので、人を選ぶかも。
幼児、低学年向け。