あらすじ
たかしくんは、お母さんにお使いを頼まれました。
「商店街君」で買い物をしにいかなくてはなりません。
モノレールにのって、いざ「商店街君」へ……!
昭和レトロと近未来が融合した、圧倒的世界観で迫る絵本!
細かく書き込まれた絵に感動
細かく細かく描かれる風景や建物の中。
好きな人にはたまらないだろう。細かく書き込まれた風景は眺めているだけでも楽しい。星座を見つけるように、書き込まれた看板の文字や人々のうごきなどを見つけだすのだ。
絵柄は昭和レトロのにおいを漂わせながら、中身は近未来を舞台にしているという、古いけど新しい個性的な世界観が際だっている。
空には屋台飛行機が飛び、空にはパトロール隊の乗り物が飛んでいる。
話の内容は、たかしという少年が、「しょうてんがいくん」というショッピングモールのような巨大ロボのような商店街にお使いに行くという内容である。
この商店街君、全貌がばーんと描かれているのだが、書き込みがもうすばらしく細かく圧倒的。商店街君という一つの建物にいろんな店舗が入っているようで、いろんなところにところせましと看板がでている。「定食いこい」「そば」「占」「ラーメン」「寿司」……またレタリングが昭和レトロな感じで雰囲気があるのがにくい。
九龍城砦に心ときめくものを覚える人ならば、この細々とした書き込みは心躍るに違いない。
商店街君の中は大盛況。
たかしくんは、お使いリストを案内ロボに見せて、地図を出してもらう。独特なロボットの造形は、いかにも昭和的で泥臭いデザインをしている。端々に古きよき、といった感じが漂っているのに、UFOの飛ぶ近未来。このちぐはぐさが世界観にいい味を醸し出している。
お使いを頼まれたたかしくんは、買い物リストにあるものを買いに行く。そのたびに、近未来的で昭和レトロな不思議な店舗に出会う。
にんじんとたまねぎを八百屋に買いに行けば、個性豊かな八百屋トラックが迎えてくれる。
そこでは絵探しをこなさなければならない。ところせましと描かれた野菜の中から、指定されたものを見つけださなければ、野菜を売ってくれないという。……営業する気があるのかないのか。
花を買いに行けば、細かいあみだくじをしなければ花が手に入らず、ケーキは小人たちが作っているという状況。
お魚を買いに行くと、間違い探しが待ち受けている。間違い探しをクリアしなければ、買い物ができないという……。
最後のおもちゃを買いに行くと、こまかーい迷路が待ち受けている。
眺めているだけでも十分なのに、絵探し、間違い探し、あみだくじといろいろゲームが登場してきて、楽しいことこの上ない。
無事買い物をすませることのできたたかしくん、その日の夕食は、なんと、たかしくんの誕生日パーティだったのだった。
おめでとう、たかしくん!
たかしくんと一緒に近未来の世界を見て回る、そんな絵本。
圧倒的な世界観がすばらしい。
ただ、絵柄に癖があるのは確かで、それによって好みが分かれるだろう。昭和レトロ、細かい書き込み、看板の単語にときめく人は見てみて間違いない。
絵による情報が多い
視覚的な情報が多く、見て楽しむところが多い絵本。
話はあるが、いたってシンプル。
遊び絵本としても十分楽しめるだろう。
幼児、低学年向け。