絵本の森

『いちにちじごく』──悪いことしたらどんな地獄に行くのか教えてくれる絵本

あらすじ

あり日、男の子は、鼻をほじりながら思った。

悪いことしたら地獄に行くっていうけど、実際地獄ってどんなとこ?
一日地獄の鬼になって、見てみるとするかあ~。

それが苦難の始まりであった……。

一日地獄ツアーにご案内……。

 

妙に詳細で力が入っている地獄絵図

主人公のぼくは、鼻をほじりながらこんなことを考えた。

わるいことを したら、
じごくに いくって ほんとかな?

よし、いちにち じごくの
おにに なって
たしかめてみよう。

 

注目してほしい。
彼は、「地獄の鬼になって」地獄の様子をみてくるつもりだったのだ。
それがいざ、閻魔大王の力で一日地獄の様子を見てこいと言われて、主人公の男の子は……

 

なぜか責めさいなまれる側にまわっちゃった!

 

鼻をほじって、一日鬼になって地獄の様子を確かめてみよう、とか言ってる場合じゃなかった。
軽率な思いつきで、恐怖の一日地獄体験ツアーにご案内である……。

本書は、悪いことしたら地獄ではこんなことをされる!という紹介の形をとっている。その悪いことが身近なことなのが、この本を教訓的にしている。
「うそをついたら」「人のものを盗んだら」「人の悪口を言ったら」「弱い子をいじめたら」……等々、より具体的な「悪いこと」をあげて、その結果地獄ではこんな罰を受けるよ、と紹介してくれる。それはもう、迫力のある絵をもってして。
なにより絵が迫力満点で、こんな地獄行きたくない!と思わせてくれる。

地獄にもいろいろあって、それらの正式名称があるのが興味深い。
罰を受けているところは、地獄絵図に比べてだいぶソフトにマイルドになっているが、痛々しいことには違いない。流血がないだけマシかな……というレベルである。

教訓的な色が強い、「いちにちじごく」。
子どもの教育に一役買いそうである……。

 

より教訓的になった「いちにち」シリーズ

「いちにち」シリーズの中の一冊である本書。
ほかの「いちにち」シリーズと比べて、よりはっきりと教訓色を強めての登場になる。
幼児、低学年向けだろう。
地獄の様子を描いていているが、残酷性はあまりなく、ややコミカルよりなのが特徴だろう。