絵本の森

『へんてこりんなおるすばん』──家中のものが話しかけてくるお留守番

あらすじ

ランちゃんは、初めて留守番をすることになりました。
ママがおいてくれたおやつを食べても、あまりおいしくありません。
それに、なんだか家中のものが不気味に見えます。

ついには、ランちゃんの頭が痛くなってきて、目はしばしば、のどはごろごろ。
今にも泣き出しそうになったランちゃんに話しかけてきたのは、食器戸棚のおばあさんでした──

 

初めてのお留守番

ランちゃんは初めてお留守番をする。
初めてのお留守番で緊張するランちゃんの心境が、細やかに表現されていて、細かな心理描写は児童書を読むようである。

自分の家なのに、自分の家でないような寒々しさ。
ランちゃんの不安な気持ちが反映されている。
お母さんが用意してくれたおやつも、なんだかいつもよりおいしくない。
なんでもないと思っていた家具や、ものが不気味に見え、話しかけてくる……。

どれもランちゃんの心細い気持ちを写しとったものだ。
あまりの恐ろしさに、ランちゃんは泣きそうになってくる。

あたまが いたくなりました。
めが しばしばします。
のども ごろごろします。

泣いてしまう寸前を描写している。
ランちゃんを助けたのは、食器戸棚なおばあさん。彼女の出現で、ランちゃんの心細さが次第に和らいでいく。
家中のものたちに、「泣いているんだ」と言われ、ランちゃんは否定する。ただ頭が痛くて、目がしばしばして、のどがごろごろするだけだと。

それを聞いた食器戸棚のおばあさんは、それは大変とお医者さんを呼んでくれる。そうやって、ランちゃんの心細さは和らぎ、薄らぎ、だんだん平気になってくるのである。

家の中にあったものは、みんな、ランちゃんのことを好いているのだった。
不気味に見えたものはなにもない。ランちゃんの不安がなくなると同時に、家の中のものと仲良く遊び始めるところなどは、子どもらしい愛嬌に満ちている。
頭痛も目のしばしばも、のどのごろごろも取り除かれたときには、ランちゃんは美人になったよとほめられる。

 

そうこうしているうちに、お留守番は終わり。
ママが帰ってきて、ランちゃんはいつもより元気(美人?)になったのであった。初めての留守番を経て、ちょっとおとなになったのかもしれない。

 

不安はいつしか消えて

初めての留守番の不安さがよく表現されている作品。
家の中のものがしゃべり出すところはファンタジーの世界を感じさせる。
絵本だが、どことなく児童書の雰囲気が感じられる。
低学年向けだろう。