あらすじ
子猫のとらちゃんが土手を歩いていたら、鰯の缶詰が声をかけてきた。
ごはんだよー、と誘われて、とらちゃんは川の中にざぶざぶ。すると、お尻から下がじんわりと冷たくなって……。
目覚めたら、おねしょをしていた。
それから何日かたって、とらちゃんはまた海の中からたこ焼きに声をかけられ……。
水の中からおいしい食べ物が誘ってくる
おねしょを扱った絵本である。
子猫のとらちゃんが土手を歩いていたら、川の中から鰯の缶詰が声をかけてきた。
「ほーいほい、とらちゃん おいでよ、
ごはんだよー」
どう考えても罠である。
しかし、とらちゃんはわーい!とばかりに缶詰を追いかけて、川の中へ。すると、下半身がじんわり冷たく……。
目が覚めたら、おねしょをしていた。
つまり、夢の中の出来事だったわけである。
それから何日か後になって、とらちゃんは海岸を歩いていた。
すると、海から、たこ焼きが声をかけてきた。
「やけたよ やけたよ、たこやき やけたよ、
ごはんだよー」
海でふやけたたこ焼きなんて食べたくないが、とらちゃんはまてまてーと海の中にざぶざぶ。
はっと気がついたときには、おねしょをしてしまっていた。
やはり、夢だったのである。
お母さんは、とらちゃんにいいことを教える。
今度、おいしいものに呼ばれたら、ひげをぎゅーっと引っ張って、夢かどうか確かめたらいい、と。
また何日かたってから、とらちゃんはプールからたらこに呼ばれた。
ごはんだよー、と言われて入っていこうとしたとらちゃん。
ふと、お母さんの言葉が頭をよぎる。
……ひげをひっぱったらいい。
とらちゃんはひげをひっぱろうとしたけれど、目の前にはたらこ。たらこがある。夢でもたべたーいと、とらちゃんはプールにざぶん。
──そして、
それから
どうなった?
それで終わるこの絵本。
お母さんの助言がひとつも生かされてないではないか……。
この手の絵本としては珍しい終わり方だが、妙に人間味がある終わり方である。まあ、一度言われただけで、すぐに改められないもの、ということだろう……。
本文は縦書き
本文は縦書きで、文章も少な目。
幼児向けの本だろう。読み聞かせに向いている。