あらすじ
ゾウは重たい動物であることがイヤになっている。
じゃあなにになりたいの?
しかけページをめくると一目瞭然。
ゾウはね、小鳥になりたいんだって。
でも小鳥は小鳥でいるのにやになってる。
じゃあなにになりたいんだろう……。
おもしろい構造をした絵本
魚のような、よくわからない生き物が描かれた表紙のインパクトは大。
よく見ると、ちょっと怖い気がするのは私だけだろうか。
しかしタイトルが『やに なった』というところが妙に愛嬌があっておもしろい。
ページをめくると、すぐに本文である。中表紙など存在しない。潔し。
最初のページには、ゾウが描かれている。
ゾウはどうやら、重い動物でいるのがイヤになっているようだ。
じゃあなにになりたいのかな、という本文の問いかけ。
その答えは、ゾウの頭のあたりにめくれるようなしかけページが作られていて、そこをぺろりとめくると答えがわかるようになっている。
ゾウは……
飛んで歌える小鳥になりたいのだそうな。
そして次のページでは、小鳥が登場する。
小鳥は小鳥で、飛ぶのも歌うのもヤになっているそうな。
じゃあなにになりたいのかというと──
頭のところのしかけページをぺろっとめくると、小鳥がなりたがっている動物のことがわかる。
それを繰り返していくことでページは進んでいく。
おもしろいしかけだが、誰かがなりたがっている誰かは、自分に嫌気がさしているという、おとなが読むと何となく考えさせられるものがあるようなないような、という気持ちになる。
みんな、自分がやになって、誰かになりたい。
何とも心に迫ってくる縮図がそこにある。……なんてことは、おとなしか思わないような気もする。
文章は少なく
文章も少なく、わかりやすい展開をする。しかけページも楽しく読めるだろう。興味を引きやすい構成をしている。
幼児、低学年向け。