あらすじ
ひなちゃんが部屋の中で遊んでいたら、外がピカッ。
するとゴロゴロゴロ!と、部屋の中に誰かが転がってきました。
なんと、それはカミナリさま。
カミナリさまのこどもでした。
カミナリさまには名前がないというので、ひなちゃんはカミナリさまに名前をつけてあげました。
「ピカゴロウ」です。
ピカゴロウは、雲の上にすんでいるのですが、下の町並みを眺めていたら、間違って落ちてしまったとか……。
雲の上に帰るためには、雲を呼ばなければなりません。
ピカゴロウは、太鼓をたたいて雲を呼びましたが、なかなかうまくいかず……。
一緒に雲を呼ぶ!
ひなちゃんが部屋の中で遊んでいたら、外の空模様が怪しくなってきて……ピカッ、ゴロゴロゴロ!
いきなり子どものカミナリさまが落ちてきた。
驚いているひなちゃんだが、気丈にもカミナリさまに話しかける。
聞けば、彼はカミナリさまで、名前はないらしい。カミナリさまはみんなカミナリさま。お父さんもお母さんもカミナリさま。
ひなちゃん、それをどう受け取ったのかはわからないが、落ちてきた子どものカミナリさまに名前をつけてあげる。
「ピカッと ひかって ゴロゴロッて
ころがって きたから、ピカゴロウね」
結構安易なネーミングだが、カミナリさま、喜んだ。
事情を聞くと、雲の上から町を見下ろしていたら、誤って落ちてしまったらしい。
帰ろうにも、今、空は晴れている。雲がない。
ピカゴロウは、雲を呼ぶことにする。
太鼓をたたいて、雲を呼び始めるピカゴロウだが……
呼ぶ雲呼ぶ雲、みんな小さくて役に立たないものばかり……。
しかも呼ぶのは雨雲だから、小さくても雨が降っている。
そのせいで、ひなちゃんの家がえらいことになっているのだが、文句を言わずに拭いたり雨水を器で受けたり、かなり手際がいい。
もっと大きな雲を呼ばなきゃ!とがんばるカミナリさまだが、なかなかうまくいかない。
落ち込みはじめるカミナリさまに、ひなちゃんがついに立ち上がった。
パンツ一丁に洗面器、とってつきのタワシをもって……。
カミナリさまもパンツ一丁なので、パンツ一丁が二人である。
そして、二人は勇ましい顔で、構えるのだ。よっ日本一!と声をかけたくなるような勇ましさである。
彼らの思うことはただ一つ。
雲を……呼ぶ!!
太鼓をたたいて、二人は雲を呼んだ。
すると、でっかい雲がやってきたのだ……!
やったね!
雲に乗って帰るカミナリさま。
ひなちゃんは、今でも、カミナリがなるとピカゴロウのことを思い出すのだとか。
またあえるといいね、と声をかけたくなるような結末である。
勇ましい顔が何ともほほえましい
パンツ一丁ですっくと立ち、じっと空を見据えるひなちゃんのりりしい顔がいい。元々かわいらしい顔立ちに描かれているのに、そこだけがりりしくかっこいい。女の子のパンツ一丁は大丈夫なのかと思ったが、そんなことは些細なことにも思えるほどのりりしさであるので大丈夫だろう……たぶん。
子ども特有のぷくぷくした腕や手がなんとも愛らしく描かれていて、心が和む。
幼児、低学年向け。
読み聞かせにも向いていそうだ。