あらすじ
ロバのシルベスターは、小石を集めるのが趣味。
そんなとき、シルベスターは、魔法の小石を拾ったのだ。
念じれば、念じたままになる、魔法の小石。
魔法の小石を手に入れた喜びをよそに、シルベスターの前にライオンが現れた。驚いたシルベスターは、岩になりたい、と願ってしまった。
魔法の力で、岩になってしまったシルベスター。
小石を持つことができないので、元の姿に戻ることもできない。
行方不明の扱いになってしまったシルベスターは、いったいどうなってしまうのか……?
魔法の小石が引き起こしたとんでもない結果
物語は、ロバのシルベスターが、魔法の力を持った小石を拾ったところから始まる。
この魔法の小石、持って念じるだけで、その通りになるというのだから驚きだ。この魔法の小石が、なぜそのへんに転がっていたのか、どういった由来のものかは作中で語られないため、謎である。
小石を持った状態で、シルベスターはライオンと出くわす。
びっくりしたシルベスターは、「岩になりたい」と思ってしまい、本当に岩になってしまったのだ。
作中本文でもツッコミを入れているように、ライオンをチョウチョやタンポポにすればよかったのに、よりによって自分が岩になってしまうとは……。
行方不明の扱いになってしまったシルベスター。
両親は心配するが、どうしようもない。岩になったシルベスターは、小石を持って念じることができないからだ。つまり、元に戻れないということである。
残酷にも月日が流れていく……ひょっとしてこのままバッドエンドなのか……。
不安になり始める読み手。世の中にはたくさんの絵本があるし……といやな予感すらよぎる。
五月のある日、両親は沈んだ気持ちを少しでも和らげようと、ピクニックに訪れた。そう、岩になったシルベスターの元に、である。
岩となったシルベスターの背中にランチを広げ始める二人。
お父さんが、地面に転がっていた魔法の小石を見つけ、「ああこんな小石があったら、シルベスターは喜ぶだろうに……(シルベスターは小石蒐集が趣味)」と小石を岩の背中においた。なにをしても、いなくなったシルベスターのことを考えてしまう夫婦。悲しい……。
元の姿に戻りたい、と強く願ったシルベスター。
すると、魔法の小石のおかげでシルベスターの姿は元に戻ったのだった……!
再会を喜び合う、家族。
心からのめでたしめでたしだ。
本当によかったね、シルベスター!
読んでいてドキドキはらはらさせられる絵本。
物語がしっかりとあり、読む楽しみを味わえる。
字が小さめ、文章量も多いので……
字が小さめで文章量も多いので、低学年向けだろう。
読み聞かせは時間の配分が難しい。
一人読みに適した絵本だ。