あらすじ
ナナ・クインビィさんが窓の外を見ると、木のてっぺんに一匹のねこが止まっていた。
ナナ・クインビィさんは、消防署に電話をしましたが、木にとまっているねこなんて捕まえていないという返事。
またナナ・クインビィさんが窓の外を見ると、なんとねこは五匹に増えていた。
警察に電話したけど、警察は冷たい返事。
再び窓の外を見ると、木の上には、なんとねこが十匹に増えていた。
ナナ・クインビィさんはペットショップに電話しましたが……。
どんどん増えるよねこたちが
ナナ・クインビィさんが窓の外の木の上に、ねこを見かけたところから始まっていく物語。
だんだんナンセンスなほどにスケールが大きくなっていくところがおもしろい一冊だ。
最初は、一匹のねこが木のてっぺんにとまっていた。
ナナ・クインビィさんは消防署に電話したが、返ってきたのはこの返事。
「あいにく消防署では、木にとまっているねこなんぞ、もうつかまえておりません。
そのねこがですね、マッチであそんだりするようなら、お電話をどうぞ」
すげない。
ねこ一匹ぐらいで……という感じなのだろうか。
しかし、ナナ・クインビィさんが窓の外を見ると、なんとねこは五匹に増えていた! いきなりだな!
ナナ・クインビィさんは、警察に電話する。
しかし、警察もすげない返事。つまり、木のてっぺんにいるねこなんて知らん、ということである。
ナナ・クインビィさんがまた窓の外を見ると、木のてっぺんにはなんと十匹のねこが。
ペットショップに電話するが、ここもまた、知らん、という返事。
この返事がすげない感じなのだが、そのねこたちが○○するようならまたお電話してね、というところがおもしろい。
はてさて十匹に増えたねこ、さらに窓の外を見ると、ねこはなんと十五匹に増えていた。
ナナ・クインビィさんは、動物園に電話した。しかし動物園は……
「あいにくうちでは、木のうえのねこはつかまえていないもんでねぇ。
そのなかに、大がらでしましまのがいたら、電話くれませんか。
じつは、うちのトラがいっぴき ゆくえふめいでね」
ここもすげな……
えっ、トラが逃げ出したの!?
それ大問題じゃない!?!?
そうしている間にも、ねこはどんどん増えていく。二十匹、二十五匹、三十匹、三十五匹……いろんなところに電話しても、どの施設もすげない返事。ナナ・クインビィさんは、電話を窓の外に放り投げた。自棄を起こしたとしか思えない。というか自棄だろう。
すると、電話のコードをたどって、四十匹に増えたねこはナナ・クインビィさんの家へ……。
しばらくして、ナナ・クインビィさんのところに市役所電話がかかってくる。市役所といえば、ナナ・クインビィさんが電話をしてもすげなかったところだ。電話の内容は、どこもかしこもネズミが出て大変だという内容。
その電話に、ナナ・クインビィさんはこう言うのだ。
「あいにくですこと。ねこちゃんたちはもう、ねずみなんかつかまえたりはいたしませんのよ。ほんもののねこなでごえがききたくなったら、お電話くださいな」
そう、四十匹のねこたちは、ナナ・クインビィさんのおうちでお昼寝中。
ナナ・クインビィさんは、それまですげなくされていた仕返しをしたのである。いやはや、痛快。
とんでもなく増えていくねこたち
ねこが増えていくところと、冷たい電話の返事がおもしろい一冊。オチも効いていて楽しい。
話が長いうえ、文章量もそこそこあるので、低学年からが対象だろう。