絵本の森

『ベンジーのもうふ』──手放せない毛布だったが、あるとき……

あらすじ

ベンジーは、赤ちゃんのころに使っていた毛布をいまだに手放せない。
持っていると、安心するのだ。
毛布を手放せという声もあったが、ベンジーは毛布を手放すことができなかった。

しかしある日、ベンジーは、毛布をよく忘れるようになり……。

 

毛布を通して、ベンジーの確かな成長を描いた絵本。

 

持っていたら安心する毛布だったが……

この絵本を読んで、思い出すのは、ライナスの毛布である。
持っているだけで安心できる、あの毛布。
この絵本に登場するベンジーも、赤ちゃんの時に使っていた毛布がそれだった。

赤ちゃんの時に使っていた毛布だから、もうぼろぼろだ。だけど、そんなことはベンジーには関係ない。この毛布のあたたかみ、手触りの良さがベンジーに安心と勇気を与えてくれるのだ。
ベンジーの周りの人たちの反応はさまざま。
でも、たいていは、そんなぼろぼろの毛布、いい加減手放したら?という。一番理解しているのは、ベンジーのお母さんだろう。お母さんは、毛布を手放せなんて言わずに、見守ってくれるのだ。ここに、ベンジーのお母さんの器の大きさを見ずにはいられない。
お父さんも少しは理解を示しているが、やはりお母さんの理解のほうが深い。

そんな中で、ベンジーは毛布を大切に大切に扱う。どこにいくのにも一緒だ。眠るときも。

しかし、あるとき、隣の家で飼われているネコの鳴き声がずっと続いていてうるさい、という話題が持ち上がる。ベンジーはそれを何となく聞いていたが、どうにかしてあげようということも思わなかった。

だがあるとき、ベンジーに変化が起きた。
幼稚園からお母さんと一緒に帰るとき、行く先々で、毛布を忘れる、ということをやらかす。いつも一緒じゃないと不安になったのに……。

「どうしたんでしょう、ベンジー。きょうは もうふを わすれてばかりいるのね」

それは、靴のサイズが少し大きくなったことに関係がありそうだ。つまり、彼は大きくなった、ということ──その証左に、ベンジーは隣の家に飼われているよく鳴いて困らせていたネコに、毛布をあげるのだ。

彼にはもう、毛布は必要ない。
両親はそれを知って、大いに喜び、彼をほめた。

「このこねこ、ないてばかり いたから、ぼくのもうふ あげたの。
きっと もうふが ほしいんだ、と おもったんだ。
それに ぼくは、もう おおきいんだもの」

ベンジーはなんだか得意そうにこう言った。立派なお兄ちゃんの顔だ。
目に見える大きな成長に、両親は喜んで当然だろう。
そして、子猫に向ける優しさに胸が打たれる。
ベンジーは、靴のサイズが大きくなっただけではない。心もまた大きくなったのだ。

この絵本は、そんなベンジーの成長を描いた絵本だった。

 

話がしっかりある絵本

話がしっかり展開する、お話を楽しむタイプの絵本。
文章量は多く、話が長い。ある程度の読む力が必要になるだろう。
低学年からが対象だろう。