絵本の森

『いたずらおおかみくん』──オオカミくんの最後のいたずらとは

あらすじ

ひねくれもののオオカミくんは、意地悪をしてやろうとして、道ばたに転がっていたサッカーボールを友達に向かっておもいっきり蹴飛ばしました。
すると、偶然にも、ボールを探していたんだ、と友達にお礼を言われてしまいました。
オオカミくんは、なんだか残念に思いました。

オオカミくんは、意地悪してやろうと、ほかの友達に向かって水をかけてやろうとしました。
しかし……

 

やることがすべていいことになって……?
ひねくれオオカミくんの最後にやった意地悪とは……?

 

ひねくれオオカミくん、最後に思いついたことは……

ひねくれもののオオカミくん。
みんなを困らせようととった行動が、逆にみんなに感謝される羽目になってしまう。みんなにお礼を言われたことを思い起こして、オオカミくんは……という話。

オオカミくん、悪い子ではないけど、なぜかちょっと意地悪したくなるという複雑な子のようである。
行為を怒られると、「何となくやった……」という感じの複雑さだろう。悪いことといいことの区別はついてるのになぜ……?という複雑さ。

でもこのオオカミくんが本当にいい子だとわかるのは、最後のオチの部分だろう。
みんなにお礼を言われたことを思い起こす、オオカミくん。はっきりと文章では書かれていないが、お礼を言われたことがうれしかったのが、オチを見るとわかる。

ピクニックでお弁当を食べようとレジャーシートを広げる子たち。そのレジャーシートを、オオカミくんはずるずると引きずっていく。
なぜ……?

 

それは、
きれいな桜の下で食べた方が、気持ちいいと思ったから!

 

そのことに気づいて、みんなはオオカミくんにお礼を言う。
みんなにお礼を言われて、喜ばれてよかったね、オオカミくん。

しかし、オオカミくん、突然やると誤解を招きやすいから、最初に一言言えるようになったら、もっと素敵かもしれないよ。

 

素直になれないオオカミくん

素直になれないというか、思いついたことをなにも言わずに実行してしまうオオカミくん。
ほほえましいとは思うが、そういう生き方は誤解されやすいので言葉にしていくことも大事なのでは、と少し思う。
最初のほうはいいことをしようと思ったわけではないところが、リアリティがあっていい。
幼児、低学年向け。