絵本の森

『アップルムース』──こんなお父さんイヤだ。だから新しいお父さんを探す!

あらすじ

ヤネマンはお父さんが大好きだ。
お父さんの指は、アップルムースのにおいがする。

そんなお父さんだったが、怒ったときは別。
ヤネマンは怒ったお父さんが嫌いだった。

だから、ヤネマンは新しいお父さんを探しに行くことにしたが……。

 

お父さんなんか……

ヤネマンはお父さんが大好き。
ヤネマンが語るお父さんは、とても個性的でおもしろそうな人物だ。
子どもはよく両親を見ているというのは本当だ。

ヤネマンはとにかくお父さんが大好きで、いろいろとお父さんのことを紹介してくれる。首には大きなのどぼとけがあって、お風呂に入るとママみたいに歌を歌ってくれたり、寝起きの頭はボサボサ、あびにはサボテンみたいなひげがのび……。
疲れているときは話しかけても返事がないけど、手は温かくて、指はアップルムースのにおいがする。
どうやら、彼のお父さんは、アップルムースを作るのが得意のようだ。

お父さんと楽しく戯れる様子が描かれていてほほえましい。
そういえば、お母さんに関しての本はよく見かけるが、お父さんに関しての本はあまり見かけないなと思った。

 

そんなお父さんが好きなヤネマンだったが、温かなお父さんの手が冷たくなるときがある。つまりそれは怒っているときなのだが、しかられたときはヤネマンはお父さんが嫌いになる。
そこでは、「よい人さがしの森」にいって、別の新しいお父さんを見つけようとする。

この森、おそらく想像上の森なのだろうが、表現が怖い。
高い木々が林立し、その幹にはリアルな口がついていて、いやな歌を大きな声で歌っている。
歌がやみ、静かになると、アップルムースのにおいが漂ってきた。
このページで木の高いところに家がたっており、その幹には枝が映えているのだが、それが腕になっていて絵面がとても不気味である。腕が幹からいっぱい映えている……。

ヤネマンは木を上り、その家に入った。
そこには恐ろしい顔をしたものがいた。その恐ろしいものは、アップルムースをヤネマンにごちそうしてくれる。はじめは嫌々食べていたヤネマンだったが、ムースを全部平らげる頃には、その恐ろしいものはお父さんに変化していた。
怒ってかたくなになっていたヤネマンの心の緊張がほぐれた一瞬だろう。

そうして、また、ヤネマンはお父さんが大好きになるのである。

 

想像と現実の境目がない

想像と現実の境目がないので、最初は戸惑うかもしれないがヤネマンのお父さんへの気持ちがよく現れでている絵本である。
独特な絵柄で独特な世界観をしているが、お父さんとの関係を扱った良い絵本だと思う。
幼児、低学年向け。