あらすじ
ある日、旅にでることにしたハンジュクさん。
次々展開していく独特な世界観から目が離せない!
言葉遊びの楽しい一冊。
言葉遊びの不思議な世界
独特で個性的な世界観が爆発した一冊。
言葉遊びの本に近いのだが、その実態ははっきりいって謎すぎる。ノリも独特ながら、登場人物も個性的。
見開き二ページで話が進んでいくのだが、どうやら話はあまり関係ないような雰囲気である。
文章の頭二文字と後ろ二文字(たまに三文字)が次の文章に続いていく。
つまり、
「とさかにごはん」の「はん」をとって、次は、
「ハンジュクさんは あるひ たびに でることに しました」
この文章の後ろ二文字、「した」をとって次のページでは、
「したぎを 3まい よういして リュックに いれ」
「いれば はぶらし はみがきこ おむすびを つくえの うえに ならべて みると」
「みるとんくんも リュックに いれて つれてってよ というので」
……と言った感じに次々話が続いていくのである。……が、話の内容はどうもいきあたりばったり感が強く、読み手は翻弄される一方である。
そんな感じにいきあたりばったり感が強いので、物語の盛り上がりがあまりなく、ただただ作者の個性的な世界観に圧倒されているうちに話が終わってしまう。
文字をつなげていくルールもおもしろいのだが、結構無理矢理に続けたところもあって、その続け方はおもしろい!というところが少ない。本当に、作者の個性と世界観を味わうための本である。
タイトルの『とさかにごはん』も、意味があるようであまりない。
絵本にしてはページ数が多いのだが、見開き二ページに一行だけなので読み終わるのに時間はかからない。短いアニメーションを見ているかのようだが、やっぱり全体を覆うこの謎の勢いと謎の世界観が異彩を放っている。
この妙な勢いのある独特な世界観と、キャラクター、話の展開に波長が合えば、おもしろいと思う。
ただ波長があわなければ、小首を傾げるばかりの内容となっている。
物語はあるような、ないような
独特な展開をしていくこの絵本。物語はあるような、ないような……。不思議な本である。
低学年向け。
多めのページ数のことも考えると、読み聞かせにはあまり向いていない。