あらすじ
あるところに、大きいゾウが住んでいるところに、ちいさいちいさいゾウが住んでいました。
大きいゾウはちいさいちいさいゾウの居場所はここではなく、海の彼方だと言います。そうしてちいさいちいさいゾウをあざ笑うのでした。
しかし、ちいさいちいさいゾウも、自分の居場所はここではないと感じていました。海の彼方に自分の居場所があるような気がしてならなかったのです。
そして、ちいさいちいさいゾウは、海の彼方にある自分の居場所を探すため、いろんなものに理想の場所はないかと尋ねてまわりますが……。
ちいさいちいさいゾウが自分の居場所を見つけだす
大きいゾウが住んでいるところに、ちいさいちいさいゾウが住んでいた。
大きいゾウが灰色なのに対して、ちいさいちいさいゾウは若草色をしていた。
大きいゾウは、ちいさいちいさいゾウに、おまえの居場所はここではないという。
「ちびちびよ。おまえは 風に はこばれてきたに ちがいない。海の かなたの どこかから。はっきりしていることは おまえが ここのものでは ないことさ」
そういって大きいゾウはちいさいちいさいゾウをあざけった。
しかし、ちいさいちいさいゾウ本人も、自分の居場所がここではなく、自分は海の向こうから来たに違いないと思っていた。
そうして、ちいさいちいさいゾウは、自分の居場所を探すため、いろんなものに、海の向こうに自分の理想とする場所があるのかどうか尋ねて回る。しかしそれも一筋縄ではいかず……という展開をする。
これは、自分の居場所を探す物語だ。
しかし、ひとに尋ねても、みんな曖昧な答えしか言わない。ちいさなちいさなゾウは、困難に直面しながらも、自分の力で、自分のいるべき場所を見つけだし、喜びや悲しみを分かちあえる仲間を見つけだす。
これは、本当の居場所は、自分の力でしか見つけ出せないものというメッセージの現れだろうか。
ゾウは、見つけだした居場所に暖かく迎え入れられる。
お帰りなさい、ふるさとに、と。
苦難を乗り越え、ふるさとを見つけだしたゾウは、前のように邪険に扱われることもないだろう。
ゾウは、自分が幸せになれる場所を、自分の力で見つけだしたのである。
居場所探しの旅
自分の居場所を見つけだすというテーマのこの作品。
メッセージ性が強く、それを理解するには中学年ぐらいになるだろう。物語として楽しむだけなら、低学年からでも楽しめそうだ。