あらすじ
ある朝、目が覚めたら、朝ご飯がお菓子になっていた。
驚いたともくんだが、お父さんもお母さんも特に変な顔をしていない。
おかしいな、と思いながら学校に行くと、その日の給食はお菓子だった。
驚いたゆうくんは、周りのみんなにそのことを言うが、みんなはいつもどおりだという顔をしている。
いったい、どうしちゃったんだろう??
不思議に思いながら家に帰ると、なんとおやつはおにぎりだった。
そして、夕飯はまたお菓子だったのだ。
驚いているのはともくんだけ。
こんな毎日、ラッキー?
それとも……?
ある日突然、ご飯がお菓子に
ある日、目覚めたら、「ご飯」がお菓子に。「おやつ」がご飯の「おかず」に。
そんなことになったら、どう思うだろう。
主人公の男の子、ともくんは、ある日目覚めたら、そんな世界になっていることにびっくり。
朝ご飯には、ケーキ、クッキー、チョコレート……そしてココアに生クリーム。
聞いているだけで胸焼けしてきそうなメニューだが、お母さんもお父さんも変な顔ひとつせず、朝ご飯として受け入れている。ともくんだけがびっくりしている状態だ。
学校の給食も、豪勢なおやつメニューだった。
シュークリームに板チョコ、プリン、飴……。
今日の給食、すごいね!とともくんが感動しても、周りのみんなは逆に不思議そうな顔をする。そんなことないけど……といった具合だ。
奇妙な状況に置かれたともくんだが、「今日はお菓子の日なのかも」なんて、わりとのんきに状況を受け入れている。まあ、ご飯がお菓子になって困ることと言えば、胸焼けと虫歯ぐらいなものだろうが……。
ご飯でさえ、こんな豪勢なおやつなのだから、本当のおやつの時間のおやつはもっともっと豪華に違いない、と考えたゆうくん。
朝も昼もおやつを食べてて飽きないかと思うのだが、ゆうくんは豪華なおやつを期待して家に帰る。すると……
置かれていたおやつは、なんと小さなおにぎりがふたつ。
これにはゆうくんも肩すかしをくらったようで、残念顔。
その日の夜ご飯は、なんと、スナック菓子。ゆうくんはうれしそうだが、どうしても栄養とかいろいろ考えてしまうのはおとなだからだろうか……。
そして次の日も、ご飯はお菓子。
そんな日々が続くかと思うと、げんなりした気分になってくるが、ゆうくんは違う。
ピーマンが二日もつづくのはごめんだけど、お菓子ならだいかんげいだ。
……ゆうくん、筋金入りのお菓子好きらしい。
明らかにおかしいことが起きているとわかっているのに、こんな日が続くならラッキーでいいや、と考えるのを早くも放棄している。心配になってきた。
今日のおやつは、小さなハンバーグ。
もっとハンバーグを食べたいと思うゆうくんだったが、お母さんの「夕飯はごちそうなのに食べられなくなる」という言葉にまたもや、思考を放棄する。
豪華なお菓子のごちそうのほうがいいということだが、ゆうくん、そんなに毎回お菓子食べてて飽きてこない……?
それとも、何かヤバいものでも入っているのか……。
そんな日々、ともくんは一週間、続けた。
それなりに順応し、ごはんはお菓子に幸せを見いだしてすらいるようだ。
逆に、おやつは、ごはんということもわかり、それにはちょっと残念な気持ちになっていた。スパゲティも唐揚げもちょっとしか食べられないから。
しかし、ある日のおやつにカレーが出てきて、その量の少なさにともくんはお母さんに「もっと食べたい」と言う。しかしお母さんから、「夕飯が食べられなくなるからだめ」と言われ、ともくんは「ちゃんとご飯も食べるから」と言ったそのとき、ともくんは思い出すのだ。
一週間前、ご飯がお菓子になる前、「ちゃんとごはんも食べるから」といって、ともくんはおやつのケーキを二つも食べ、そして結局、その夕飯のカレーを残してしまったこと……。
ともくんは初めて、そのことに後悔した。
お母さんのカレーライスをもうおなかいっぱい食べられないこと。
これからもずっとお菓子ばっかり食べ続けなくてはならないこと……。
そして次の日の朝、お菓子のご飯は元に戻っていた。
ちゃんと、ご飯はご飯に戻っていたのだ。
あれは夢だったのか、何だったのか……
それははっきり書かれていないが、そんな変な一週間が現実に起こったら、大変である。母さんのカレーライスを残してしまったことの罪悪感が、ゆうくんにそんな変な夢を見させていたのかもしれない。
お菓子が毎日……
へんてこな話が展開していくこの一冊。
お菓子ばっかり食べて、ご飯を食べない子に読ませたい。
文章量が多く、児童書ぐらいある。低学年向けだろう。