あらすじ
先生には、みんなが持っている星が見える。
何か得意なこと、好きなことに向かい合っているときにその星が輝くということも知っている。
だけど……引っ込み思案で臆病なソラくんだけがまだ星を輝かせていません。
ソラくんの星は、いったいどういうときに光るのかしら……?
みんながひとつ持っている星
あのね、せんせいには みえるのよ。
この文章から始まるこの小さな絵本。
心がじんわりと温まり、励まされる。
先生は、みんなひとつ、輝く星を持っているのだという。
それは得意なことや好きなことに取り組むと、光る星。
だけど、一人だけ、引っ込み思案で内気なソラくんは、まだ星を光らせたことがなかった。
でも大丈夫。みんな、絶対輝ける星を持っているのだから。先生は暖かくソラくんを見守っていた。
あるとき、ソラくんはアクシデントでけがをしたかもしれない子に、勇気を持って声をかける。大丈夫?と。
そのとき、彼の星は輝いたのだ。それは、優しさの星。
みんな ちがう ひとつぼし。
きみの ひかりは きみだけのもの。どんなに ほかの ひかりが まぶしくても、
じぶんの ひかりを しんじて いこう。
「どんなにほかのひかりがまぶしくても」。
この言葉が心にささる。ほかと比べがちな毎日に、いつしか存在すら忘れてしまう、自分の中の星。
ほかと比べては、どうして自分は……などと嘆いたり悔しがったりする。
子どもには、「かのうせい」がたくさんつまっている。それがうらやましい。
じゃあおとなには何もないのだろうか。
いや、そんなことはない。
おとなにもまだきっと、「かのうせい」が残っているはずだ。日々に追われ、年をとって、だいぶしぼんでしまったけれど、「かのうせい」の星が。
その「かのうせい」を忘れずに輝いている人は、とても魅力的に見える。
星を輝かせるためにできることは、いったい何だろう?
読み終わった後、おとなは考えずにいられなくなるだろう。
物語というより、詩に近い
物語というより、雰囲気は詩に近い。
テーマがわかりやすく、ストレートに描かれているため、少し説教くさく感じられるかもしれない。
文章自体はシンプル。
低学年向けだろう。