絵本の森

『スミス先生とふしぎな絵本』──登場人物が飛び出してくる不思議な本

あらすじ

二年生になったザックは、毎日が退屈で仕方ありません。
しかし、それも、担任の先生がスミス先生になってガラッと変わりました。

このスミス先生、ちょっと変わった格好をしていて、ちょっと変わった雰囲気の先生なのですが、もっと変わった本を持っていたのです。
それは、読むと登場人物が飛び出してくる本でした。

ザックとクラスのみんなは、お話の時間が待ち遠しくてたまりません。

しかし、あるとき、スミス先生が交通渋滞で学校に遅れることになり、代わりに校長先生が本を読むことになって……。

 

登場人物が飛び出す……

こんな不思議な本があるなら、世にいう本嫌いも多少は少なくなっているのではないか。一風変わったスミス先生の持っている本は、読み始めると、なんと登場人物が飛び出してきたり、その場面が再現されたりと、読書好きが一度は空想する不思議な絵本なのだ。そんな本が実在したら……世の本嫌いが少なくなるのでは? そんなふうに思う。ただそれに近いものがテレビである、といわれたら思わず、ううむ、とうなってしまうが……。

奇抜なファッションと奇抜な髪型のスミス先生は、ふつうの授業をする先生。だが、そのふつうの授業のあとの「おはなしのじかん」で本を読み始めると……あらふしぎ、登場人物が飛び出してきて、ぐいぐいとお話の世界に引き込まれていくのだ。

もはやこれ、魔法ではないか。

そんな不思議な本を持っているスミス先生の正体はいったい……。

 

不思議な本は、誰が読んでも登場人物が飛び出してくるらしく、交通渋滞で来られないスミス先生の代わりに本を読み始めた校長先生は、飛び出してきた登場人物たちにびっくり、助けを呼んでくるといって本を放り出して逃げ出す始末。
それからクラスのみんなは面白がって物語を中途半端に読んでは登場人物を呼び出すのを繰り返し、クラスの中はめちゃくちゃに。
次々と呼び出される登場人物たち。ついには、クラスの中に入りきらず飛び出していくものも……。

「おはなしを さいごまで 読まないから 本に もどれないんだよ」

そう訴えても後の祭り。
登場人物たちは本に戻りたくないので、本の取り合いが始まってしまう。もうめっちゃくちゃである。

そのとき現れたのが、スミス先生。
スミス先生は、一つ一つ物語を最後まで読みなおして、ようやく登場人物たちを本の中に戻したのであった。めでたし、めでたし……なんだけど、スミス先生、そんな不思議な力のある本を置きっぱなしにしていて大丈夫なのかな、とちょっと思ったり。

 

本を読むことが こんなに 楽しいって
だれが そうぞうしたでしょう?

うん……今回は、別の意味で楽しかったけど……それって読書が楽しいという意味ではないような気も……。

 

巻末には、本から飛び出してきた登場人物たちの解説が載っていておもしろい。
登場人物が飛び出す不思議な本というアイテムは際だっているが、それ以外の話の展開には、あまり新鮮な部分がない。スミス先生シリーズの第一作目で、キャラクターやアイテムのお披露目、という印象を拭えない。
登場人物が飛び出すという展開はおもしろいのだが、元ネタを知っていないとあまりおもしろく感じられないだろう。

 

本をある程度読んでいる子向け

本にある程度親しんでいる低学年向け。
本の楽しさをテーマにしているが、本に親しみがない子には元ネタがわからないので、ちょっと内容が厳しいものになるだろう。