絵本の森

『つのはなんにもならないか』──鬼の角は何かの役に立つの?

あらすじ

四人の鬼の子たちは、遊んでいて角がじゃまになって残念な気持ちになっていた。
なわとびしていてもなわがからまるし、ボールをパンクさせてしまうし……。
なんで角なんてあるんだろう。

気を取り直した鬼の子たちは、森に探検に出かけることにしたが……。

 

鬼の子たちの冒険

鬼の子たちのかわいいお話。
赤鬼のあかたろうくんと、青鬼のあおおくん、緑鬼のみどりちゃん、黄鬼のきよちゃん。
四人は遊んでいるのだが、頭に生えた角がじゃまをしてなかなか遊べない。縄跳びをしていても角に縄が絡まるし、ボール遊びをしていても角に突き刺さってパンクしてしまう。

「いやだね。
つのなんか
あって。」

「どうして
つのなんか
あるんだろう。」

なんだか妙におとなびた会話でちょっと笑ってしまう。
テンションが下がりぎみの子たちだが、気を取り直して、森に探検に行くことにする。

すると、その森にはいろいろな動物たちが現れて、子どもたちをぱくりとひとのみしてしまうのだ。
ひとのみされた瞬間、素で「えっ……この展開大丈夫か」となったが、鬼の子たちは角が腹に引っかかって具合が悪いので、吐き出されるという事なきを得る。よかった。

走って森から逃げ出した鬼の子たち、最後にこう言う。

「ぼくたち
みんな
おにのこ だもの
つのを だいじに
しなくっちゃ。」

 

自分の身体的特徴を前向きに受け入れていく姿勢は、自己の肯定感にもつながっていく。
今回は目に見えて角が役立ってくれたわけだが、これからも角を大事にするとともに、鬼の子であるということを肯定していってほしい。

 

鬼の子たちの楽しい話

物語は起伏があっておもしろく、数字を取り入れたりして、数字とも親しめる内容となっている。
次々と展開していくお話は、読み聞かせ映えするだろう。
幼児向け。