見てみよう、江戸の町並み
絵探し絵本の面もあわせ持った絵本。
タイトルのとおり、江戸の町並みを細かく描いた本である。
江戸時代好きにはテンションがあがるものとなっていることだろう。
細かく描かれた町並みでは、人々が生き生きと描かれている。商売をする者、走り回る子どもたち……江戸時代の知識がない私でも、眺めているだけで時代劇の舞台が見えてくるようで楽しい。
話はほとんどないのだが、一応の筋書きとしては、雲に乗った「妖怪小僧」なるものが、江戸の町並みを見せてくれる、といったものである。
江戸の町並みの中で、彼を探すという楽しみ方が、この作品のだいたいの楽しみ方のようだ。表紙見返しには、「唐辛子売り」「きつね」「紙くずひろい」「こんぴら参り」「竹馬」も描かれているという。彼らを探すのが楽しみ方のひとつなのだろう。
物語性はなく、ページをめくれば次々と現れる江戸の町を俯瞰で楽しむ。
細かいところに目を向ければ、いろんな場面が見えておもしろい。
コミカルな部分は少なく、あくまでも江戸の町並みを描くといったことに注力しているように思われる。
対象年齢は低学年からだろうが、興味を持つ子は限られてきそうだ。
読み聞かせは当然ながら向かないが、一緒に見て楽しむことはできそうだ。
巻末にはさらに詳しい解説が載っているが、こちらはおとな向けに書かれたもののようだ。
さらに詳しく知りたい人向けに、といったところだろう。
絵さがし本としては、かなり渋いセンスを放っていると思われる。