絵本の森

『ふわふわくもパン』──雲で作った不思議なくもパン、空を飛ぶよ

あらすじ

ある雨の朝、兄弟ネコはレインコートを着て散策に出かけます。
すると、木の枝に引っかかった小さな雲が。
雲を家に持って帰ると、お母さんはその雲を使って、パンを焼き始めました。45分焼かなければならないので、お父さんはとても食べていられません。雨は道がこむので、早めに出勤しなければ間に合わないのです。

お父さんはご飯も食べずに飛び出していきました。

45分たって、パンが焼きあがりました。
一口食べると、あら不思議。
体がふわりと浮かび上がりました。くもパンは、食べると体が浮くのです。

兄弟ネコは、空を飛んで、くもパンをお父さんに届けようと思い立ちますが……

 

ふわりふわりと空を飛んでパンを届けるよ

雨の朝、レインコートをきて外に出たネコの兄弟。
木の枝に引っかかった小さな雲を見つけ、家に持って帰ると……

……という、かわいらしい展開をする絵本。
紙を切り抜いて人物や建物を作り、写真でとるといった手法で描かれた、ちょっと不思議なお話。

持って帰った雲で、お母さんはパンを作る。
オーブンに入れて45分間待てば、ふわふわのパンが焼きあがるのに、お父さんは雨が降ると道がこむと言って、朝ご飯も食べず、大忙しで家を飛び出していく。

焼きあがった雲のパン。

くもパンを たべると、
ママも わたしも おとうとも
ふわりと うかびあがりました。

絵ではなく、写真で表現されるこの場面が不思議でおもしろい。
絵で描くのとはちょっと違う面白味がある。

さて、このふわふわパン。
くもでできたくもパンは一口食べると体が浮かび上がるという不思議な力を持っていた。

そうだ、このパンをお父さんに届けよう。
二人の兄弟ネコは、空を飛び、お父さんのもとへ。
満員バスの中にいるお父さんにパンを届けると、そのパンを食べたお父さんはふわりと空へ。
空を飛んで、会社も遅刻せすに済んだとか。

 

お父さんに届け物をしおわった頃には、雨もやんで、一休み。
兄弟は屋根の上に座り、くもパンを仲良く食べている。一仕事したあとのくもパンはおいしいね!

 

そんな不思議なパンがあるなら、私もひとつ、ご相伴に預かりたいなあ。
……でも、浮かび上がったり降りたり、自分の意志でできるのかな……。

ペーパークラフトを含むミニチュアハンドメイドで作られたセットがすばらしい

絵でも風景写真でもない、ミニチュアの世界を写真に収めた不思議な絵本。立体的だがイラスト的なところもあって、みていて不思議な気持ちになってくる。雨の表現がすばらしい。

幼児、低学年向け。
読み聞かせ映えもするだろう。