あらすじ
蜘蛛のニイドは巣を掛けるのが得意。
どんな虫でも、ジェット機だろうと、空とぶ円盤だろうと、糸にかけてしまいます。
しかし、そんなニイドの巣にゴミを放り込んでくるものがいました。
巣を吹き抜けていくもの……そう、風です。
ニイドは、風を捕まえてやろうと、研究に研究を重ねて、「かぜぶくろ」という技を編み出したのであった。
かくして、風とニイドの戦いは始まった……。
プライドをかけた戦い
これは、蜘蛛のニイドのプライドをかけた戦いだ。
そう感じた。
蜘蛛の巣を張るのが特別上手なニイド。
しかし、彼の巣にごみを入れていく不届きものがいた。それは風だ。
どんなものでも巣にかけられると自負していたニイドは、風をも捕まえてやると巣を掛けるのだ。そうして、ニイドは、風をつかまえるための巣、「かぜぶくろ」を編み出す。もう職人の意地である。
しかし、風も負けてはいない。
素直に捕まってたまるかと、ニイドと一緒にかぜぶくろごと空へ……。
……ニイドは、地上からいなくなってしまった。
この展開に、ちょっと切なくなったが、まわりの蜘蛛たちは違う。
彼はいまだ空の上で、「かぜぶくろ」で風を捕まえているのだという。
彼らは口をそろえて言うのだ。
夏にはあんなに大きい「かぜぶくろ」。
「かぜぶくろ」から雨が降るときは、風のやつが悔しがって泣いているのだと。
そう、ニイドの「かぜぶくろ」は、あの雲なんだよ。
あれこそが、彼がプライドをかけてつくりあげた「かぜぶくろ」さ。
ちょっと不思議でちょっと切ない話
ちょっと不思議でちょっと切ない話だけど、今もニイドがどこかにいると考えたら楽しくなってくる。そんな作品だ。
文章の量はそこそこ。
幼児、低学年向けだろう。