あらすじ
カメのかめぞうさんと、コイのこいたろうさんは、ケーキを目の前に我慢していた。食べたいのだが、けろこさんは買い物に行っていていないのだ。勝手に食べるわけにはいかない。
しかし、二人はだんだん、我慢できなくなってきた。
少しだけ食べようとナイフとフォークを台所に取りに行ったが……。
我慢したら最後には
短いお話なのだが、間の取り方がとてもうまくて、笑ってしまう。その笑いも、心が温まった上から出る、優しい笑いだ。
この『がまんのケーキ』は、コイとカメが、ケーキを前にやりとりしているところから始まる。
「ねえ もう いいんじゃないかな~
かめぞうさん」
ケーキを前にしたコイはよだれを垂らして、眼前のケーキを見つめている。かめぞうと呼ばれたカメは、ストイックに、まだだめだ、と言う。
一時はこのかめぞうさんがしっかりしていると思われたが、どうしても食べたいコイは目前のケーキの良さを語ることで、かめぞうさんの心が揺らいでくる。
二人がそもそもケーキを前に我慢しなければならなくなったのか、というと、カエルのけろこさんが買い物に行っているからだという。
しかし、目の前にあるケーキのおいしそうなこと……
二人は次第に我慢ができなくなって、ちょっとだけならといいだろうとナイフとフォークを取りに行く。
そして、二人は、前を通りがかった冷蔵庫に書き置きが貼られている野に気がつく。
かめぞうさん
こいたろうさん
おいしいこうちゃを
かってきます。
いっしょにケーキ
たべようね。
けろこより
こんな書き置きがあったら……
二人はたっぷり時間考えて、こう言い合うのだ。
「ああ ぼくは なにしてたんだろう」
「わしもじゃ」
「がまんできるよね」
「ああ、いくらでも」
この結論に至るまでの間がおもしろい。ほほえましくなってしまう。
そして三人のお茶会は無事におこなわれる。
よかったね、かめぞうさん。こいたろうさん。我慢できてなかったら、今頃楽しいお茶会は開かれてなかったと思うよ。
暖かい気持ちになれる一冊
文章は短めで、シンプルな内容ながら、心温まる一冊である。
幼児、低学年向け。やや幼児向けだろうか。