見て聞いて笑って終わっててて
独特な世界観で描かれる、言葉遊び絵本。
「て」でつく言葉でつながっていく文章がおもしろい。
たとえば、
さわって
なでて
たたいて
のばして
かまれて いてて!!
……といったように、空とぼけた展開をしながら、つい読みたくなる文章がつづられている。
音のリズムを書き表した、おもしろい本だ。(ちなみになぜかまれたかというと、ネコをたたいてのばしたから。)
文字そのものにも、大きさを変えたり、引き延ばしたりして、表情をつけてある。
全編通して、この調子で展開していくので、物語性はほぼない。
五味氏の個性的な絵柄が魅力的な一冊だが、センスに合わなければ首を傾げる内容となっているだろう。
言葉遊び、言葉のリズムが好きな子には、何とも言いがたい魅力を覚えるだろう。
読み聞かせも、表現豊かに読み聞かせられれば引きつけられると思うが、文章量、内容ともに幼児向けだろう。
前述したように、物語というものがほぼないので、好みが分かれそうな作品ではある。
声に出して読むとまた違った面白味が出てくる、楽しい言葉遊びの絵本である。
表紙の見返しには、こう書かれている。
これは
音の絵本です。
文字の絵本です。
そして
やがて、ゆったりと
言葉が
きこえてくる絵本です。
お話が見えてくる絵本です。
まさに、その通りの絵本である。