あらすじ
昔、イギリスに、ロバート・マントという牧師さんがいた。
今では立派な牧師さんとして慕われているが、彼は過去に大騒ぎを起こしたことがあったんだ。
そう、これは、牧師さんが初めて村の教会に赴任したときの話。
彼は緊張と不安から、ある癖が出てしまった。
話の中で、ランダムに言葉を入れ替えてしゃべってしまうという癖。
“今朝”は“酒”、“心”は“ロココ”というように……。
自分がそんな変な癖を引き起こしているとは知らずに、礼儀正しく村人に接するマント師だったが、村人は、マント師はちょっとおかしい人だと思われてしまった。
そんなマント師が、礼拝のとき、説教を始めたのだが……。
変な言葉入れ替えの癖が出てしまった牧師さん
愛すべき牧師、ロバート・マントが引き起こした、おもしろおかしいお話。
この牧師さん、初めて赴任した村で、緊張のあまり、困った癖が出てしまった。言葉の一部を組み替えてしゃべってしまうという癖だ。
たとえば、“今朝”は“酒”になったり、“心”は“ロココ”といったり……という具合だ。しかも困ったことに、必ずみんな言葉が入れ替えになるわけではなく、不規則に言葉が入れ換えになってしまうというわけだ。
そんな状態なんだけど、マント師は自分の変な癖が出ていることに気づかない。
いろんな場所でここというときに入れ替え言葉でしゃべってしまって、みんなになんだこの牧師さんは、と思われてしまう。
悪い人じゃないんだけどあの人ちょっと……という感じである。
言葉の組み替えのせいで、おげれつなことになってしまうところが、何ともいえない。“ぶち”を“恥部”と言ったり、“骨子”を“しっこ”と言ってしまったりして、みんなどん引きするのだが、マント師自体は礼儀正しくいい人なので、嫌われなかった。
物語の一番の面白味は、この部分につきるだろう。
悪気のない言い間違いが引き起こす、言葉の面白味である。
(前略)
ことにお酒を飲むとき、その場でお金を払わず、けつで飲むのが問題です。
けつで飲むと、ついつい量が過ごしがちになります。そのうえ、くそぶねが重なると体はまいってしまいます。ちょっと想像してみてください、みなさんがそろってお酒をけつで飲んで、くそぶねで礼拝にいらしたばあいのことを。(後略)
もうこんな説教をされたら、笑いを耐えるのに必死になる。
村のみんなは愕然として、どん引きである。
ようやくマント師が自分がどうにも変なことを言っているらしいと気づいたところで、物語はもう終盤。
この奇妙な癖の直し方は簡単。はなしている最中、後ろ向きに歩くこと。そうすれば直るのだとか。
それからマント師は、教会での説教のときは常に後ろ向きに歩いて、説教をするのだそうな。
……それはそれで大変ユニークだが、村の人たちは素直にうけいれ、愛すべき師として接しているという。
マント師、人柄だけはよくてよかったね……。
短く楽しいお話
児童書としては字が小さめだが、そのぶん、話が短い。漢字のすべてに読み仮名が打たれているので、中学年くらいが対象だろう。
下ネタが好きな子なら笑える作品。