あらすじ
あるところに王様とお后様がいました。
二人は、城の庭に咲く花を大切に育てていました。
ある夜、王様は神様の使いからお告げを聞きます。
二人に子どもを授けよう。大切にしている庭に探しに行けば、娘がいるだろう。その娘には魔法がかかっていて、それが解けなければ、国は滅んでしまうだろう、と。
王様は朝目が覚めると、早速、庭に娘を捜しにいきます。
かわいい娘は確かにいましたが、なんと葉っぱに座るぐらいに小さかったのです。
それでも王様とお后様は大切に娘を育てるのですが、お姫様はだんだんと大きくなっていき……。
でかくなっていくお姫様
かわいらしいお姫様の表紙だが、縦長な本のサイズに、インパクト大。
おおきな、といかにもといったところだ。
あるところに、王様とお后様が住んでいた。
二人の間に子どもがいなかったが、庭の花を子どものように大切に大切に育てていた。
その晩、王様の夢に神様の使いが現れて、こう言うのだ。
「おまえに むすめを さずけよう。
あさが きたら、おまえたちが たいせつにしている
にわを みるが いい。
そこには はなのように かわいい
ひめが いるはずだ。
だが、ひめには まほうが かかっている。
おまえに そのまほうを とくことが できれば、
ひめは おまえたちの
ほんとうの むすめに なるだろう。
もし、それが できなければ
このくには ほろびてしまうだろう」
ハッピーなのか不穏なのかわからない複雑なお告げである。
しかも、こういった内容のおつげを受けるのが男性である王様といったところが珍しい。
果たして、王様は庭で、葉っぱの上に座るかわいらしい女の子を見つけ、大切にその子を育てることに。
しかし最初は小さかった姫は、一日ごとに大きくなっていき、ふつうの子どものサイズを突き抜けて、城より大きく育っていく。
その様がこの絵本でのおもしろみあふれるところだ。
だんだん大きくなっていくお姫様……
城に入り切らなくなったところで、王様は「ひめにはまほうがかかっている」という夢のお告げを思い出した。結構気づくのが遅い。しかも、魔法というか呪いに近い。
結局、魔法は説くことができずに──姫はドーンと城の高塔さえも突き抜けてしまう。
このときの折りたたみのページは迫力があって楽しい。
しかし、見た感じ、お姫様は成長しているというより、ただでかくなっているという感じである。
そして王様は、偶然にもお姫様のおへそに何かがあるのを見つける。
取ってみると、それは、なんと、種だった。
種を取り除くと、お姫様にかかっていた魔法は解け、お姫様はみるみる小さくなっていって、ちょうどいい大きさに。
そしてめでたしめでたし、なのだが、なんでお姫様に魔法がかかっているのか、どうしておへその種を取ると魔法が解けるのか、いっさい語られないままなので何となく消化不良に陥る。
最後に取り除いた種を植えると、ひまわりのような植物に育っているところから、お姫様はひまわりか何かの分身だったのかとも考えられるが……謎である。
不思議なことに、お姫様のことであわてふためいているのは王様ばかりで、お后様はほとんど出てこない。
なんだか不思議だ。
絵がシンプルだけどかわいい
絵が非常にシンプルなのだが、とてもかわいらしい。
赤ちゃん絵本のようなやさしい絵柄だが、中身の文書量はそこそこある。
幼児から低学年が対象だろうか。