あらすじ
とらくんが道を歩いていると、大きなベーコンが落ちていました。
そのベーコンを食べたいとらくんでしたが、そこはぐっと我慢して、交番に届けました。
警察の人は、明日の昼ごろまで持ち主が現れなければ、とらくんのものになるよ、と言われて、俄然、期待してしまうとらくん。
次の日、朝早くから、交番で待ち続けるとらくん。
持ち主が現れてくれるなーと願いながら、ベーコンが自分のものになるのを今か今かと願います。
ベーコンが自分のものになったら、独り占めして全部自分で食べるんだと思っていたとらくんでしたが……。
おいしいのは二人ではんぶんこ
でっかいベーコンを食べたいなあと思っていたとらくんが道ばたで見つけたのは、なんと、でっかいベーコン!
道ばたにむき出しのまま落ちている。
……絶対にあやしい。何かの罠では……?と思うのだが、とらくんはそのベーコンを拾って食べた……
……ということはなく、我慢して、ちゃんと警察に届けた。
警察の人も、むき出しのベーコンを届けられても困ると思うのだが、話は支障なく進んでいく。
ベーコンがほしいとらくん。でも落とし物だしなあ……とあきらめかけるとらくんにに、警察の人がいう。
「もちぬしが こなかったら ベーコンは とらくんのものだからね。
あしたの おひるごろ きてごらん。」
この言葉にうれしくなったとらくんは、次の日朝早くから、警察でベーコン目当てで待ち続ける。
道ばたでむき出しのまま落ちていたベーコン……一晩すぎてから、持ち主が現れるのか……?
そもそも、どろがついているベーコンでも食べたいの、とらくん……。
とらくんは、もしベーコンが自分のものになったら、親友のねこのくろくんにも内緒で1人で食べるんだーと妄想している。
この時点で、落とし主が誰か、何となく想像がつくのだが、とらくんのベーコンにかける情熱がほほえましくてかわいらしい。
落とし主は、もちろん、くろくんだ。
くろくんはベーコンが届いていないかと警察の人に尋ね、届いているよといわれて、ほっとする。
「ああ よかった! あのね、あのベーコンはね、
とらくんと はんぶんこ するんだよ。」
これをいわれて、とらくんびっくり。
確かに、こんなこといわれて、ベーコン独り占め!とか考えていたのが恥ずかしくてたまらないよね……。絶対、くろくんにいえない。
そして早速、ベーコンを二人ではんぶんこして食べるんだけど、とらの発言が何ともふふっとした気分にさせる。
「あのさあ くろ。ひとりで まるごと くうより、
はんぶんこの ほうが うまいな。
うまいなって いいながら くうほうが うまいもんな。」
とらくん、どんな気持ちで言ってるのかなあ?
言ってることは、ほんわか心温まる内容だけど……。
その言葉を受けて、とらくんの切り返しかたがおもしろい。
「でも、ひとりで まるごと たべるほうが、やっぱり おいしいかも しれない。」
言葉とベーコンがのどにつまったとらくん、最後のページの二人がかわいい。
なんといってもかわいい二人
なんといっても、とらくんとくろくんののやりとりがかわいい。
この二人のシリーズはこの本で二作目になる。
そちらもかわいらしいのでおすすめだが、今回のこの絵本もかわいらしい。くろくんが終盤にならないと登場しないのが惜しいが、それまでの展開においても、とらくんの憎めない性格がよく描かれていて、見ていると楽しくなってくる。
低学年向け。
読み聞かせにも向いているだろう。