絵本の森

『このパン なにパン?』──丁寧に描かれるパンの絵におなかも空く

おいしそうなパンが勢ぞろい

パンの絵が描かれてあり、このパンは何か当てるという食べ物絵本。

パン パン
この パン
なんの パン?

という問いかけが、絵本の世界へ引き込んでくれる。

なにより、特筆すべきは、おいしそうなパンの数々。
写真を使わず、すべて絵で描かれたパンはみんなすばらしく、おいしそうだ。

「なんのパン?」と尋ねた次のページには、答えと、パンを半分に割った絵が描かれ、答えがわかるという構成だ。
この半分に割られたパンから、中身がのぞいている絵は、なんともリアルでありながら、写真よりも暖かみがあり、そしておいしそうに見える。さすが手書き、といったところだろうか。
パンの皮のつやつやしたところとか、半分に割ったパン生地のふわりとしてそうなところとか、実際には目の前にパンはないのに安易に想像できるのがすごい。

クリームパン、ジャムパン、あんパン、カレーパン、メロンパン、チョココルネが登場する。
あんパンにいたっては、こしあんとつぶあん二種類も描かれるという豪華っぷりだ。

これを読み終わったら、菓子パンが食べたくなることうけあい。
食べ物に興味が出てくる年齢から、読み聞かせに最適な一冊だろう。幼児向け。低学年にはちょっと幼い気がする。

物語性はないが、見ているだけで食欲が刺激されるような楽しい絵本だ。
どんなパンが好きか、会話が盛り上がるかもしれない。
コミュニケーションの一助としても活躍してくれる本だろう。

欲を言えば、もっといろんなパンを見てみたいといったところだが、対象が幼児なので、あまり長いのも中だるみしてしまうだろう。シンプルに短めでちょうどいいのかもしれない。