絵本の森

『おさるのパティシエ』──おさるの習性とパティシエのプライドの奮闘記

あらすじ

パティシエりおさるくんは、みんなに食べてもらえるようなおいしいスイーツを作ることか夢。
そんなとき、オーナーがやってきて、新しいスイーツの開発をしてほしいと頼まれる。

よしやるぞ、と意気込んだのはいいものの、お菓子を作っているうちに、おさるの習性が出てきて、ついつい遊んでしまい台無しにしてしまう。

オーナーに怒られて、素直に反省したおさるくん。
気を取り直して、失敗挽回とスイーツ作りを再開したのだが……。

 

パティシエである前におさるなのか、おさるである前にパティシエなのか……

おさるのパティシエ、おさるくんが主人公のお話。

ある日、オーナーから新しいスイーツの開発をしてくれと頼まれる。俄然、やる気の出てくるおさるくん。
がんばるぞー!といきごんだのはいいものの……。

おさるとしての習性と、パティシエとしての夢が拮抗する場面がおもしろい。
材料チェックと称して、材料のバナナをチェックしているとついつい食べてしまうおさるくん。しかも全部食べちゃったというのだから、さるの習性に完璧負けているじゃないか。

おいらは、しごとを わすれて バナナを たべまくった。
たべて、たべて、たべまくった!
ふと きが ついたら、バナナが ぜんぶ なくなってる。
だって おいら、おさるだもん。

おさるだもん、じゃないよ……。
開き直ってる場合じゃないよ……。

 

次の日も、おさるくんはバナナを使って生地づくり。しかしだんだん、粘土遊びみたいに思えてきて、その生地を丸めて投げ始めた!
生地は壁にぶつけられ、大変な惨事に。
でもおさるくんはとまらない。

だって おいら、おさるだもん。

という言い訳?をしながら、生地で遊びまくる、遊びまくる、遊びまくる!

うん……おさるくん、もうパティシエやめたほうが……。

運悪く、部屋に入ってきたオーナーの額に、投げた生地がべちゃ!
オーナーはカンカン。そりゃそうだ。
怒られると素直に反省するおさるくんだが、やらかした規模がでかすぎるので、謝るだけでは済まないような気がするのだが……。

失敗を挽回しようと、気を取り直して作業に戻るおさるくん。
でもやっぱり、だんだん遊びになってきて……

だって おいら、おさるだもん。

またか!
もうやめろ! パティシエを!

 

絵本的にはここで笑うところなんだろうけど、なんだかおさるくんのキャラに腹が立ってきて、笑う余裕が出てこない。
二度目の失敗をやらかして、おさるくんはまたオーナーにしかられる。そして素直に反省する。

 

今度こそと奮い立ったおさるくん、まじめにスイーツ作りに取りかかる。
今度、「おさるだもん」をやらかしたらクビだ。絶対クビだ。
そして、一晩中かけて、おさるくんが作り出したスイーツは……

多種多様の、たくさんのユニークなスイーツ!

おさるくん、やればできるんじゃないか!

数々のユニークなスイーツがずらりと並んだところは、圧巻だ。おもしろいスイーツがいっぱい並んでいる。名前も一つ一つつけられているので、拾い読みしても楽しい。
「アップップパイ」「そんなバナナ」「カキクケクッキー」「イカクレープ」「ジャングルパイ」などなど!

様子を見に来たオーナーは、満面の笑顔。

「でかしたぞ、おさるくん!
どれも ユニーク かつ、おいしそうだ!
ぜんぶ まとめて うりだすと しよう!」

よかった、よかった、ハッピーエンド。
おさるのパティシエも安泰……

……って、え?

何、おさるくん。

いっかい つくっちゃったら、
つくりかたは すっかり
わすれちゃってるんだよなあ。
だって おいら……

 

最後の一言はもう書くまでもない。
また最後のページのおさるくんがぜんぜんやらかした感がなく、笑ってるのが一番納得がいかない。みんなが喜ぶようなスイーツを作るのが夢だったんじゃなかったの??

最後の最後でトホホとなるのは、彼がやっぱり、おさるだから?

 

パティシエ奮闘記というより、さるの習性との奮闘記

文章量はふつうで、読み聞かせもできそう。
幼児、低学年向けだろう。
絵は親しみやすい絵柄で、人を選ばない。