あらすじ
もうそろそろ寝る時間だよ、とパパに言われたステラ。
ステラはまだ絵本を読んでいたかったのですが、仕方ないので、ぬいぐるみのブーちゃんといなづまネズミとチョッキガエルの三人に、もう寝ようと声をかけます。
でも、三人は、寝ないと答えます。
困ったステラは、枕を取り出し、それを船に見立てて、大海原へ出る空想を始めます……。
寝ない子世界チャンピオンは一体誰?
女の子の空想の世界が優しく広がります。
空想の世界で戯れる
子どもって、こんなすてきな空想の中で生きているんだなあと思うと、ほほえましくなってくる絵本である。
内容は、主人公の女の子、ステラが眠りにつくまでのお話なのだが、この間のお話がすてきだ。
もう寝なさい、というパパの声に、「まだ えほんを よんでいたいのに」と思いながら、ぬいぐるみのブーちゃんといなづまネズミとチョッキガエルに、もう寝ようと声かける。
だけど、この三匹は、まだ寝ないというのだ。
寝ない子世界チャンピオン一位を目指す!という始末。
ステラの心の声が、ぬいぐるみを通して表現されているのは明らかだが、それでもステラはぬいぐるみたちを眠りにつかせるため、いろいろと努力する。
まくらを船にして、ゆらゆらと揺られるところを空想したり、箱を汽車に見立てて、夢の世界に誘ってみたり……絶対寝ないもん、と言っていたぬいぐるみたちは、一体、また一体と眠りについていく。
ステラの空想の世界は、絵で余すところなく描かれていて、紙面はメルヘンチックに染まる。
こんな豊かな空想の世界を持っている子どもは、なんてすてきなんだろう。
そしてようやく、ステラは、寝ないと言っていたぬいぐるみ三人組を寝かしつけることに成功する。
じゃあ、最後に残ったステラが寝ない子世界チャンピオン?
いえいえ、ちょうどステラも眠りについて……おやすみなさい。
ぬいぐるみが生き生きと動き回るところが、夢があってとてもいい。
小さい子はこんなふうに、ぬいぐるみを見ているのかなあ?
女の子が眠るまで
主人公の少女、ステラが眠りにつくまでを描いた作品。
眠りにつくまでの空想の話が展開されていくのだが、その空想も楽しく不思議な雰囲気をまとってはいるものの、空想自体は一貫しておらず、物語にそれほど大きな変化はない。
眠る前の一冊として楽しむ本だろう。
幼児、低学年向け。