あらすじ
高い高い木の上にできたバナナ。
ゴリラとキリンとゾウは、そのバナナを食べたいなと思っていた。でも、高い木の上にできているので、取って食べられない。
そこへ、サルがやってきて、するすると木登りしてバナナを取って行ってしまった!
バナナが食べたい三匹は、サルからバナナを奪い取ろうとするが……。
バナナン ナン、食べたいな
みんな食べたい、バナナ。
ゴリラとゾウとキリンはバナナが食べたい。でも、高い場所になっているので、取ることができない。
そこへ、サルがするすると木登りして、バナナを持っていってしまう。
絵がかわいらしいためか、話全体がかわいらしく感じられる。非常に牧歌的だ。
バナナを食べたいゴリラとキリンとゾウ。
バナナを取っていったサルを追いかけていく。
三匹は、直接サルにバナナを分けてくれないかと交渉すればいいのに、なぜか奪い取ろうとする。
キリンは茂みから長い首をのばして。
ゾウは茂みの穴から長い鼻をのばして。
業を煮やしたゴリラは、直接ぶんどりに。
ページを茂み型に加工したり、ページに穴をあけたりして、うまく興味をひくように作られているところが楽しい。
キリンとゾウは、黄色は黄色でも、バナナでなくて帽子や鞄を間違って奪ってしまう。
帽子はともかく、背負っている鞄を取られればふつう気づくはずなのだが、サルは気づかず、一直線に家に帰っていく。
ゴリラに至っては、サルをやっつけてバナナを奪おうとしたあげくに、サルの捨てたバナナの皮ですってんころりん。
みんな、なんで話し合うという方法をとらないのか……。
サルが家に帰ってしまうと、窓型に切り抜かれた穴から、皮ばかりのバナナが見える。全部食べられてしまった、と落胆する三匹だったが……。
このオチにほほえましい気分になるとともに、くすっと笑ってしまった。
サルは独り占めしようと思ってなくて、本当はみんなでバナナを食べるつもりだったのだ。
かたや、奪い取ってバナナを食べようとした三匹。
おまけに、間違って取った帽子と鞄を「ひろってくれた」とサルに感謝されて顔真っ赤。……確かにこれは居心地が悪い。
「バナナン ナン」。
この絵本を読んでいると、このフレーズが頭に焼き付いてしばく離れない。
テンポよく展開していくお話、おもしろいし、みんなかわいらしい。
バナナン ナン。
……でもやっぱり、最初にサルに、バナナを食べたいから分けてくれってお願いしてれば、間違って帽子や鞄を奪わずにすんだんじゃないかなあ……?
かわいらしいお話
文章は少なく、シンプル。
かわいらしくも親しみやすい絵柄で、全編を通して、読みやすい雰囲気がある。
テンポよく展開する話と、ページのしかけもおもしろく、次へ次へとページをめくりたくなる。
読み聞かせ映えしそう。幼児、低学年向け。