あらすじ
ひでくんは、テレビの宣伝でおなじみの『カップおはなし』にお湯を注いだ。
三分間待たなくてはいけなかったところを、待ちきれなくて三分たつ前にふたをあけてしまった。
すると出てきたのは、不機嫌そうなワニ。
三分前に起こされて、機嫌が悪い。
ワニは、“やさしいワニくん”のお話はやめて、“こわいワニくん”のお話をしようと言い出した。
ひでくんはあわてて逃げ出すが……。
こわいワニくんのお話
『カップおはなし』という、不思議なアイテムが登場する話。
カップめんのように、お湯を注いで三分間待つと、楽しい話を味わえるといったもののようだ。
具体的に三分間待つとどんなことになるのかよくわからない。疑似体験できるということだろうか?
なぜ具体的に何が起きるのかわからないのかというと、主人公のひでくんは、三分きっちり待たずにカップお話のふたをあけてしまったからだ。
“やさしいワニくん”というカップおはなしにお湯を注いだひでくん。
三分待ちきれず、早くにあけてしまう。
すると、湯気がもくもくと立ちこめ、現れたのはワニ。しかしこのワニ不機嫌そう。
「まだ 3ぷん たってないじゃん。
オイラ、はやく おこされるの だいきらいなんだ。
これじゃ “やさしいワニくん”には なれないね。
……そうだ」
そうだと思いついたのは、なんと今日は“こわいワニくん”という話をするというのだ。お話は三分間、始まったら止められないという。
話が違うと逃げ出すひでくん。
でも三分間待たないであけちゃったから、話が違うという訴えは通じないような気がする。そもそも、三分前に意図せずあけてしまう場合もあるのだから、三分前にあけたからといって、これから起きる騒動のようなことがしょっちゅう起こったら困るわけだが……。
逃げる先、逃げる先でワニに食べられそうになるひでくん。
いつの間にか、家の中はジャングルになっている。想像力が刺激されて楽しい展開だ。『ジュマンジ』を思い起こさせる。
あわや、ぱくりと一口に飲み込まれてしまったひでくん。
まさか死……と思ったら、おなかの中で生きているらしく、ひでくんは泣き出す。
「うえ~ん、こんなの やだ やだ!
3ぷん まてなくて ごめんなさい。
でも、ぼく はやくに やさしいワニくんに
あいたかったんだよ~!」
この訴えに心が動かされたワニ。
やりすぎたかな……?と思っている隙に、ひでくんはワニの口から逃げ出す。
「えへへのへ~! うまく いった。
さっきの うそなきだよ~。
おまえなんかに つかまって たまるか」
策士である。
たくましい。
ワニは悔しがるが後の祭りである。
ちょうど三分たって、お話はすべて終わり。
ジャングルになっていた家の中も元通り。
すると、テレビで『カップおはなし』の宣伝をしていたおじさんが現れ、ひでくんに謝罪した。
「いやはや、このたびは、とんだ
ごめいわくを おかけしました。
ぼうやの カップに、とんでもない ワニが
まぎれこんでいたようで。
おわびに、この
“スーパーやさしいワニくんとなかまたち”を
おもちしました……」
私だったら、もうこんな『カップお話』はこりごりだ~と辞退するが、新たな『カップお話』にひでくんはあっさり受け取る。
そのおじさんの後ろ姿には……。
うーん、どっちが一枚上手かな?
『カップおはなし』、おもしろいアイテムだ。
カップめんが身近なぶん、このおもしろいアイテムに親しみがわく。
ワニとひでくんの攻防戦もスピード感があっておもしろい。
文章量はそこそこある
文章量はそこそこある。低学年向けだろう。
展開もテンポよく、ダイナミックな絵と相まって、読み聞かせ映えすると思う。