あらすじ
おたまじゃくしの女の子、ねーねーは、両親と兄弟たちと一緒に仲良く過ごしていました。
けれど、みんながだんだんとカエルになっていくのに、ねーねーは変わらないまま……体だけが大きくなって、カエルができることもできません。しっぽも生えたままです。
ねーねーはお医者さんにかかり、しっぽを切ってもらうことにしました。
でも、しっぽを切るその夜、ねーねーはしっぽを切るのが怖くなって、家をそっと抜け出してしまいました。
自分と同じようなおたまじゃくしはいないのだろうか……?
ねーねーは、自分と似たおたまじゃくしを探すことにしたのですが……。
自分を探して……
表紙の正体不明な赤い生き物がかわいい。
この生き物は、おたまじゃくしの女の子で、ねーねーという名前らしい。
おたま……じゃくし……。
おたまじゃくしってこんな姿してたっけ……?
前足も後ろ足も生えているけど……。
そんな素朴な疑問を抱きながら読み進めていくと、やっぱり、というか何というか、ねーねーはほかのおたまじゃくしがカエルになっていくのに、自分だけはしっぽもそのままであることに悩み始める。
客観的に見れば、ねーねー、どう見てもおたまじゃくしサイズではないのだが、ねーねーを含め両親も周りもみんな彼女がおたまじゃくしだと思いこんでいるので、しっぽがなくなればカエルになれると思っている。
一匹だけなんか違うねーねーだが、周りは別に意地悪なんてせずに接しており、両親にいたっては、ねーねーに優しく接している。
そんなとき いつも おかあさんは
ほっぺを ぺたり ぺたり なでてくれました。
おとうさんも ぎゅっ ぎゅっと しっぽをさすってくれました。
両親の愛情が伝わってくる箇所である。
結局、ねーねーはお医者さんにかかり、しっぽを切ってしまうことになったのだが、しっぽを切られることに恐怖を感じたねーねーは、家を飛び出してしまう。
そうして、ねーねーは自分と同じようなおたまじゃくしはいないかと探し回るのだ。
そして、ついにねーねーは自分と同じようなおたまじゃくしの男の子と出会う。
おたまじゃくしだ!というねーねーに、彼は言う。
「ぼく、おおさんしょううおだよ。…きみも、そうでしょ」
そう、やっぱりねーねーはおたまじゃくしではなく、おおさんしょううおだったのである。
ねーねーの自分探しの旅は終わり、ねーねーはその彼と一緒に暮らすことを選ぶ。そして、生まれた子どもは、みんなねーねーとそっくり。
ねーねーは、いつかお母さんにやってもらったように、自分の子どもを優しくぺたりぺたりとする。
ねーねーはおたまじゃくしではなかったけれど、両親の愛情は心の中に強く残っていたのだろう。家を飛び出してしまったねーねー。幸せだけど、ねーねーの心残りは飛び出してしまった家のこと……。
そして、ねーねーは家族全員で、ねーねーの両親のもとに帰る。
そのページの、カエルの両親のうれしそうな顔。兄弟たちの優しい顔。
おたまじゃくしじゃなかったけど、ねーねーは確かに愛されていたのだと伝わってくる展開である。
最後のページの絵には、ちょっとうるっときてしまった。
ねーねーが幸せになって、カエルの両親もきっとうれしかったに違いない。
じんわりと心が温かくなる
ねーねーが自分探しの旅をへて、自分の家族を持つまでに至る、成長の物語である。
読んだ後は、優しい気持ちになれる。
低学年向け。