絵本の森

『しんくんとのんちゃん 雨の日のふたり』──心配性のリスとのんきなリスのかわいいお話

あらすじ

心配性のリスのしんくんは、のんきなリスののんちゃんと友達。
ある日、しんくんの家にのんちゃんが遊びに来ることになっていたのですが、なかなかのんちゃんがやってきません。
外は雨が降ってきました。

心配になってきたしんくんは、のんちゃんを探しに飛び出しました。
すると、のんちゃんは水たまりの前にいました。
のんちゃんは、雨が水たまりにできる輪を数えていたのでした。

雨が強くなってきたので、二人は大きな木の下で雨宿りすることにしました。
そこでも、しんくんの心配性が出てきて……。

 

正反対のものの見方をする二人のかわいらしい物語。

 

心配性のしんくんとのんきなのんちゃん

心配性のりすのしんくんと、のんきなりすののんちゃんが主人公のお話。

ある日、しんくんの家にのんちゃんが遊びに来ることになっていたのだが、なかなかのんちゃんがやってこない。外は雨が降り出した。

心配性のしんくんは、だんだんのんちゃんのことが心配になってきて、続々と心配な考えを巡らせる。
もしかしたら、道に迷っているのではないか? 穴に落ちて出られなくなっているのではないか? 風に飛ばされてしまったのではないか?

不安の先取りである。起きもしていないことを悪い方向に悪い方向に考え、いてもたってもいられなくなることはよくあることだ。心配性さんは時々この思考回路に陥って、苦しむ。

心配でたまらなくなったしんくんは、のんちゃんを探しに行く。
するとのんちゃんは、道に迷っているわけでもなく、穴に落ちて出られなくなっているわけでもなく、風に飛ばされているわけでもなく、ふつうにそこにいた。
なにをしていたかというと、

「ごめんね、しんくん。
わたし、みずたまりに できる わっかを かぞえていたの」

のんきにもほどがあるよ、のんちゃん……!

 

そしているうちに、雨が強くなってきたので、二人は大きな木の下で雨宿りをうることに。
雨足の強さに、再び、心配性が顔をのぞかせるしんちゃん。

「もしも このまま ずっと あめが ふりつづいて
みずびたしに なったら、きっと ぼくたち おぼれちゃうよね。
どうしよう」

それに対してのんちゃんはこうだ。

「だいじょうぶ だいじょうぶ。
ふたりで きのえだに のっかって たんけんに いきましょう。
わくわくしてきちゃった」

何でも悪い方向に考えて心配してしまうしんくんと、のんちゃんの楽観的なものの見方はとても対照的だ。
心配性は心配性なりにいいところもあるはずなのだが、のんちゃんの楽観的なものの見方にはどうしてもあこがれてしまう。

何にせよ、二人の相性はばっちりだ。
心配になってくるしんちゃんを「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とのんちゃんは包み込んできたに違いない。

二人がとてもかわいらしく描かれていて、見ているだけでも心いやされてくる。ほっとできる一冊だ。

 

仲のよい二人をかわいらしく描きながら

仲のよい二人をかわいらしく描きながらも、心配性に陥りがちな子に向けて、のんちゃんのように考えることもできるんだよ、と優しく教えてくれているようだ。

幼児、低学年向け。
心さしい気分になりたいときに。