あらすじ
ユータくんは、ゴリラの絵のパズルで遊んでいました。
最後の一ピース……となったとき、そのピースがどこを探しても見つかりません。
いろんなところを探し回ったのですが見つからず、クローゼットを開いて見ると……なんと、ジグソーパズルでできた道が続いているではありませんか。
ユータくんは、ジグソーパズルの道を辿って、ジグソーパズルの国へ……。
さてジグソーパズルの国は、どんなところなのでしょうか?
最後の一ピースは見つけられるのでしょうか?
いざ、クローゼットからジグソーパズルの国へ
こういう不思議な世界へ行く話は好きだ。
タイトルのとおり、主人公の男の子ユータが、すべてがジグソーパズルでできた国へと行く話である。
その入り口は、何と、部屋のクローゼット。クローゼットを開くと、ジグソーパズルの道が続いていた……という素敵な幕開けをする。
ユータは、パズルに興じていたが、最後の一ピースになって、ピースがないことに気づく。
探し回って見つけたのが、クローゼットの中から続いているジグソーパズルの道。
ユータは、ジグソーパズルの国に迷い込み、自分自身もジグソーパズルになってしまうのだが、ユータには不安や恐怖といったものは感じられない。むしろ、知らない国を見て回って楽しんでいるようにも思える。
すべてがジグソーパズルでできているので、絵もまた細かくなる。
中盤あたりに出てくる竜巻などは、見ていて圧巻だ。
話の展開が奇想天外で、読んでいて面白い。
パズルで出来た道をたどる迷路のページもある。この迷路がまた楽しいので、思わず、目で迷路を辿ってしまった。
遊び心のある絵本だと思う。
そんな中で、ユータはなくした最後の一ピースを探すのだが、探し物は案外あっさりと見つかる。
そしてまた、ジグソーパズルの道を辿っていくと、自分の家のクローゼットにたどり着くのであった。
あんまり楽しい不思議な話なので、夢オチかな?と予想するが、最後の一ピースはちゃんと持って帰っていたし、そのあともジグソーパズルの国の住人と会っているから、夢じゃない。
しかし、ユータは、どんなものにも動揺しないので、すごい。
肝が据わっているのか、好奇心が旺盛なのか……そのおかげか、全編通して、非常に牧歌的な雰囲気を味わえる。
不思議さと楽しさを併せ持った、一冊だ。
ジグソーパズルの最後の一ピースがないという絶望、見事回避できてよかったね。
文章は少なく
文章は少なく、シンプル。
絵の書き込みが細かく、話も予想外のほうへ広がっていくので、読んでいて楽しい。
幼児から低学年向けだろう。