あらすじ
姉妹のちえとさえは、眠る時間になっても眠たくありません。
そこで自分たちの部屋のカーテンの中に逃げ込みました。
前に進んでいくと、そこに広がったのは不思議な森……。
いろんな動物たちが、「もうねるじかんだよ」と言ってくるのですが……。
カーテンの奥に広がっているのは……。
小さい頃、カーテンの中に入って遊ぶのが好きだった。つるしたカーテンの中に立っていると、前も後ろもカーテンで遮られて、ちょっとした異世界に立っているかのような気分を味わえた。立ちはだかるカーテンの壁を払って前に進むと、カーテンの柄が次々と目の前に現れてきて楽しかった。……ただ、おとなにはそんなところで遊ぶなと怒られたけれど。
この『カーテン』は、そんな昔の思い出を思い出させてくれるような絵本だった。
眠る時間になっても、まだ眠くない姉妹のちえとさえ。お父さんにもう寝なさいと言われても、眠たくない。
二人は、もう寝なさいというお父さんから隠れるように、自分の部屋のカーテンの中に入る。
手をつないでカーテンの中を歩いていくと……
カーテンの柄が次第に変わってきて、気がつくと二人は森のなかに。
お父さんのものを身につけた動物たちに出会い、そのたびに、
「ふたりとも、もう ねるじかんだよ。」
……と言われるのだが、眠くないと言い返して森の奥へ奥へと突き進んでいく。
この不思議な光景が、色も鮮やかに雰囲気たっぷりに描かれているのがすばらしい。童話的なイメージが錯綜している。
動物たちに寝る時間だよと諭されているのも聞かず、森の奥へ突き進む姉妹だが、だんだん二人は眠くなり……
幻想の終わりは、本物のお父さんがカーテンをめくって顔を出したところで終わる。
あれは夢だったのか、そうじゃなかったのか……。不思議な余韻とともに、姉妹は二段ベッドに入り、眠りにつく。
絵かとても暗示的で、不思議な魅力に満ちている。
カーテンの森で出会った動物たちは、姉妹の部屋ではぬいぐるみとして再登場しているし、森の中で見かけた鳥やウサギはモービルとして描かれている。
眠る前の、不思議なお話。
そんな魅力のつまった絵本だった。
眠る前のお話に
文章はとてもシンプルで短く、絵をメインで見ていくことになる一冊。
雰囲気たっぷりな不思議な世界を味わえる。
眠る前の読み聞かせの一冊としても向いているだろう。
幼児から低学年向け。