どんどん出てくるおもしろ小話
特徴的な絵柄による、短編集絵本。
どの短編もつながりがないように見受けられる。たぶん、どの話から読んでも支障はないと思う。
表紙見返しに、作者からの前書きのような文章が載っているのだが、「ぼくのイモヅル式は、次々と色々な楽しくてバカバカしい(?)事件を、ここに恐れ多くもダラダラとお見せする次第です!」とある。
本を読んだ結論として、どのあたりがイモヅルなのかよく分からなかった。作者の頭の中で考えついた話がずるずるとイモヅル式に出てきたということなのだろうか。読み手としては、どのへんがイモヅル式なのかちょっとよく分からない。
絵本でありながら短編集という珍しい形態なのだが、一話に割くページ数が限られているため、短編集とはいってもショートショート集の様相を呈している。
収められた話の内容も個性的で独特なものが多く、感性が合わないとちょっと厳しい。正直をいうと、私は感性があまり合わなかったらしく、笑うところが分からないまま終わってしまうのが多かった。
個性的な絵柄と独特な世界観、話の展開と、圧倒的な作者のセンスがあふれている一冊だ。
デザインも個性的で、ページを開くと作者の世界が広がっていく。ほかの追随を許さないこの世界観は、すばらしい。
12話も収められた話は、ちょっと笑える小話というふうを装っている。
登場人物はそれぞれ違うため、話が終わるとそれでおしまいになる。
収められている話の中でおもしろかったのは、「バリカンくんの仙人修行」「カルタくんのひっこし」。「あんただれ?」のツッコミはおもしろかった。カタツムリ運送という名前だけでオチが読めるが、やっぱりちょっと笑ってしまった。
まさに落語を聞いているような気分だ。さくさくと読めて、笑って、そして後腐れもなく終わるので、ちょっとした時間に手頃に読める。
ただ、絵本にしてはちょっと分厚めなので、持ち運びは大変そうだ。
独特な世界観が構築されている
絵を見ただけでも作者の個性があふれているが、中身も作者の個性が爆発している。
作者のセンスを余すところなく圧縮したかのような絵本である。
小話がたくさん収められている。
話自体は笑い話が中心で、前後のつながりはない。
笑いのツボが合えば、たまらない一冊になるだろう。