あらすじ
木曜日、朝目覚めたら、イモジェンの頭に立派な角が生えていた。
角が生えていると、着替えも部屋の出入りもちょっと大変。
お母さんは、そんなイモジェンの姿を見て、ふらふらばたん。
お医者さんに見せても原因は分からない。
イモジェンは、頭に角が生えているなら生えているなりに、一日を楽しむのだが……。
愛らしい少女に角が生える
ある日、少女、イモジェンが目を覚ますと、頭に立派な角が生えていた──から始まるこの物語。
とにかくそれはもう立派なもので、鹿でもこんな立派な角にならないだろうというほどの大きさ。
普通、そんなものが頭から生えていたら、混乱すると思うのだが、このイモジェンという少女、肝が据わっているのか非常に楽観的なのか、あらまあ、という感じでいつもどおり寝間着から服を着替えたりして、不便だなあなどとしみじみしている。
彼女の立派な角に一番混乱をきたしたのは、母親だった。母親はあまりの衝撃にふらりと倒れてしまう。
そのあと、医者見せたり、なんだかんだで生えているものは仕方ない、というような流れになるのだが、母親以外はわりと平常を保っているようである。弟などは、彼女の角を調べて、「ヘラジカ」だね!と言ったりもする。
頭から角が生えていると……わりと便利。
布巾を乾かす物干し代わりに、ドーナツをいっぱいかけて小鳥のエサに……
小鳥が彼女の角にとまってドーナツをついばむ様子は、何だか素敵な光景にも見える。
そんな感じで、頭に生えた角のことを気に病んだ様子もないイモジェン。
心配するのはもっぱら母親だ。
角を隠すため、特注の帽子をデザイナーに注文する。
出来上がった帽子は……うーん、へんてこだ。それを見て、また母親がふらふらばたん。
イモジェンはそのあとも普通に過ごし──角にろうそくを飾ったりしながらピアノを弾いたり──そして寝床に入る。
前向きなのか楽観的なのか、彼女は満足げな表情すら浮かべてベッドに入っている。
ながくて、たのしかった 一日……
いろんなことが あったわ。
スヤスヤ。
楽しかったんだ……。
気持ち良さそうに眠る彼女を見て、頭に角が生えていても、それなりに楽しんで生きていけるのかな、などと思う。
そして次の日目を覚ますと、角はなくなっていた。
その姿を見て、みんなは大喜びするのだが……
あらまあ、なんてことでしょう!
……どうして彼女はいろんなものが生えるの?
文章は少なめ
文章はシンプルに少なめ。
少女の頭に角が生えるという始まりだが、最後まで、何故角が生えたのか、ということは語られない。
角が生えたことによって、それなりにエンジョイするさまをメインに楽しむ絵本である。
幼児、低学年向け。