あらすじ
おいしいドーナツを売るお店がありました。
とてもおいしいので、一度このお店でドーナツを買って食べたら、また買いに来る人がほとんどというぐらいです。
ドーナツ屋さんのおじさんは、毎日、楽しく歌を歌いながら、ドーナツを作っていました。
しかし、あるとき、小麦粉の入った缶が足の上に落ちてきて、おじさんは怪我をしてしまいました。
これでは、お店を開けることができません。
お客さんはがっかり。
がっかりしたのは、お客さんだけではありませんでした。
売られるはずだったドーナツたちもがっかりすると同時に不安になっていました。
ぼくたちは一体どうなるんだろう?
心配になったドーナツたち。
このままでは何にもならないと、自分たちからお店を抜け出し、自分たちを売り出しに行くことにしました。
思わずドーナツが食べたくなる
おいしいドーナツを作るドーナツ屋のおじさんが、怪我をして店を開けられなくなり、これでは買ってもらえないと心配したドーナツたちが自ら行動を起こすという話。
さまざまなドーナツが出てきて、ドーナツが食べたくなる。
いろんな人に愛されている、ドーナツ屋さんのドーナツ。きっととびきりおいしいのだろう。
一度買って食べたら、すぐリピーターになってしまうというぐらいなのだから、とてもおいしいのだろう。
しかし、そんなドーナツ屋さんを営むおじさんが、怪我をしてしまう。
そのため、店は臨時休業に……。
お客さんは残念そうに「臨時休業」の張り紙を見ては帰って行く。
がっかりしたのは、お客さんだけではなかった。店のドーナツたちもまた、がっかりして不安になっていた。
「ぼくたちは いったい どうなるの?」
そう、お店が閉まっていると、ドーナツは買ってもらえない。食べてもらえない。
不安になったドーナツたちは、自分からドーナツを売りに行こうと行動を起こしたのである!
だれもドーナツ屋のおじさんのことを心配してないんだけど、誰か心配してあげて……。
こうして、自ら売り出しに行く、手足顔のあるドーナツたち。
店を抜け出し、いろんなところへ。
気球に乗って飛び出していくドーナツもいて、その規模、すごい。
ドーナツたちはいたるところに忍び込み、または紛れ込んだりして、自分を猛烈にアピールしていく。
ドーナツの積極性がうらやましい。それと同時に、奇想天外なところに飛び込んでいくドーナツたちが面白い場面でもある。
そしてその結果……
ドーナツ屋さんの前ではたくさんのお客さんや従業員志望の人たちでいっぱい。
ドーナツを かいにきたひとが 55にんと、
おじさんの おみまいにきたひとが 33にんと、
ドーナツやさんで はたらきたいひとが 7にん!
病院から帰ってきて、この光景を前にしたおじさんは、正直、なんのこっちゃ……という気持ちだろうが、日ごろ楽しく作っていたドーナツたちに恩返しされたという見方もできるかもしれない。
それから、ドーナツ屋さんはますます繁盛。
これはきっと、ドーナツたちのおかげだよね。
カラフルな絵が目に鮮やか
カラフルな絵が目に鮮やかな本書。
ドーナツたちの積極的な行動がまた奇想天外。みんなで読んでも楽しめるだろう。
幼児、低学年向け。