あらすじ
クマは、誕生日が嫌いです。
とにかくもう、誕生日に関するもの、すべてが嫌いなんです。
だけど、ある日、ネズミがやってきてこういいました。
「お誕生日、おめでとう!」
クマはむすっとした顔で答えます。
「今日は誕生日じゃないよ」
──嘘です。
今日はクマの誕生日なんです。
ネズミは、クマの誕生日を祝おうとしますが、クマは頑なに拒否します。
そして、最後には……?
お誕生日が嫌いなクマと、クマを祝いたいネズミの攻防戦
お誕生日が嫌いなクマと、クマのお誕生日を祝いたいネズミの心温まるお話。
本日が誕生日のクマ。
でも誕生日が嫌いなクマは、祝いに来てくれたネズミに頑なな態度をとる。
何故クマは誕生日が嫌いなのか?
それをメインにお話が進んでいくのかと思えば、そうではなかった。
結論を言うと、何故クマがお誕生日を嫌っているのか、謎のまま終わる。
ちょっと肩透かしである。
誕生日が嫌いだと訴えているのに、しつこくしつこく、お誕生日を祝ってあげようとするネズミ。
話の大部分が、ネズミが誕生日を祝ってあげようとして、クマがそれを拒否するというやりとりなため、終盤に差し掛かるころには、そんなに祝われるのがいやだって言ってるのだから、そっとしておいてあげれば……などという微妙な気持ちが湧いてくる。
何故そんなに祝われるのが嫌なのか、明確な理由が描かれていないため、どっちの味方にもなれず微妙な気分を味わう。
クマは何故、誕生日が嫌なのだろう。
みんなにおめでとうと言われるのが照れくさいとか、そういう理由なのだろうか。
終盤に差し掛かって、ようやく、クマはネズミのお祝いを受け入れる。
そして、ついには、
「たんじょうびって、それほど いやなものじゃないね」
……という言葉まで出てくる。
もしかしたら、クマは、今まで、誰かに誕生日を祝われたことがなかったのかもしれない。
そう考えると、しつこいとも見えるネズミの積極的なアプローチも、腑に落ちる。
頑なな態度に気分を害する事無く、何度も何度もクマの誕生日を祝おうとするネズミ。それほど強くクマの友情を感じているということなのだろう。
最後の、二人だけの誕生日パーティがとても楽しそうでほっとする。
二人の友情──ちょっとクマがひねくれてはいるけれど、彼らの友情がささやかに続いていくことを望む。
これからは、クマの誕生日を普通に、楽しく祝えればいいね。
最後のクマの変化を見ていると、ネズミの誕生日を祝ってあげようとするかもしれない。
祝ってもらうのも、祝ってあげるのも、楽しいよね。
お誕生日を大切にすること
ネズミの一生懸命さに、お誕生日というものの大切さが伝わってくる絵本。
祝うことも、祝われることも、どっちもうれしい。
少しページ数が多いので、低学年向け。
読み聞かせするときにも、少し時間がかかりそうだ。