あらすじ
穴の底から、鳴き声が聞こえてきます。
なんと、イヌのろくべえが、穴に落ちてしまっているのです。
それに気がついた子どもたち。
何とかして、ろくべえを穴から出そうとするのですが……。
ろくべえを助け出すために
イヌのろくべえが穴に落ちて、鳴いている。
本書は、それを子どもたちが何とかして助け出そうとする物語だ。
穴は深くて、とても手を伸ばしたところでろくべえには届かない。
子どもたちはまずお母さんの知恵を借りることにする。
子どもたちに頼られたお母さんたちは──
「むりよ。」
一刀両断。
もう少しこう、オブラートに包むとか、何とかできなかったのか……。
お母さんたちは、男じゃないとこれは解決できない問題だと言う。
子どもたちの一人は、じゃあ自分が穴を降りていって助け出すというのだが、これも危険だからダメだといわれてしまう。
じゃあ一体どうやってろくべえを助けるの? ろくべえがかわいそうだよ。死んじゃうよ。
そんな疑問と気持ちでいっぱいになるのだが、作中のお母さんたちは、
おかあさんたちは、やっぱり わいわい
がやがや いいながら、
かえっていってしまいました。
まさか見捨てるとは……。
人として一番最悪な選択肢を選択したよ、お母さんたち……。
その後も、おとなが通りがかるのだが、積極的にろくべえを助けようとしない。
穴に落ちたろくべえを見て、
「いぬで よかったなぁ。にんげんやったら、えらい こっちゃ。」
たすけてくれるのかと おもったのに、そのひとは
そう いっただけで、いってしまいました。
なんとも頼りない、心無いおとな!
人間不信になりそうだ。
元気をなくしていくろくべえ。
子どもたちは必死に穴の上から呼びかける。しっかりしろよ、頑張れ、助けてやるからな……
子どもたちの心の温かさが滲みてくる。
それに反して、おとなたちは……。
最後は子どもたちの知恵で、何とかろくべえを助け出すことに成功する。
自分たちの力だけで、助け出せたことに子どもたちは自信を持っただろう。最後の彼らの笑顔は、頼もしい笑顔だ。
味のある絵が描く、子どもたちの奮闘
お話を楽しむ絵本である。
文章量はそんなに多くはないが、低学年向け。
読み聞かせも向いている。心無いおとなの描写には、「ひどい」という意見が飛び交うことだろう。