あらすじ
あめふりぐもは、遊んでいるネコたちを見かけて、何をしているのと寄ってきます。
だけど、あめふりぐもだから、近寄ると雨が降ってしまいます。
すると、ネコたちは雨が降ってきたと逃げ出します。
それでもあめふりぐもは、ネコが遊んでいるところを見かけると寄っていきます。
寄ると、やっぱり雨が降り出すので、ネコたちは遊んでいられません。
ついにあめふりぐもが家までついてきたので、ネコたちは怒り出し……
妙にリアルな子どもの関係
ちいさなあめふりぐもは、好奇心旺盛。
ネコたちが遊んでいるところを見て、何しているのか見に行く。
すると、あめふりぐもだから、雨が降ってくる。
ネコたちはもちろん、遊びをやめて逃げていく。
なんだか、すごく悲しい場面だ。
ネコたちに悪意がない上、理由が分かるだけに、なんとも切ない。
その後も、あめふりぐもは、ネコたちの遊びを見ようとして近づくのだけど、そのたびに雨を降らせてしまうので、ネコたちに逃げられてしまう。
あめふりぐもは、どうして自分が避けられるのか、分かっているのだろうか。
作中では、どうも分かっていないような気がする。
だからなおさら、あめふりぐもは悲しい。
わーん。
なかまに いれて
くれないよー。
あめふりぐもはそう言って泣くのだが、ネコたちの反応は想像していたものとは違うものだった。
ネコたち、あめふりぐもが執拗に追いかけてくるので、怒るのである。
そらへ のぼって いって、
あめふりぐもを
やっつけて やる。
そして、ネコたちはあめふりぐもに水をぶっかける。
何だかこの展開、どうにも爽快感を感じられない。あめふりぐもは別にネコたちに迷惑をかけようとしたわけではないのに、水をぶっかけられてしまうのである。
もう少し……なんというか、対話ができなかったものか……とちょっと思ってしまう。
だが、逆に、これが子どもの世界なのだと言われれば、確かにそうかも……と思ってしまうリアリティはある。
結局、水をぶっかけられたおかげで、あめふりぐもはおてんきぐもになり、みんなから逃げられることはなくなった……で物語は終わる。
何だか……うーん、リアリティはあるのだけど、もう少し、歩み寄りみたいなものがあってもいいかな、とはちょっと思う。
これでは、怒って反撃に出たこと(水をぶっかけること)が正しかったことになってしまうわけだし……?
最後に、あめふりぐもがネコたちと仲良く遊ぶ場面もないので、何となく収まりが悪い気がするのも確かである。
文章の量は少なく、一人でも読める
文章量も少なく、展開も分かりやすいので、小さな子でも一人読みできる絵本である。
幼児向け。