あらすじ
ある夜、誰かが「ぼく」の布団に入ってきた。
誰だと尋ねると、「おねしょまん」だと名乗る。
彼は、言葉巧みに、「ぼく」を水遊びに誘う。
水遊びをして楽しかったが、翌朝起きると、布団はおねしょでぐっしょりぬれていた。
お母さんは激しく怒った。
その次の日も、おねしょまんがやってきて、ジュースを飲もうと誘う。
おねしょまんに誘われて、ジュースをいっぱい飲む「ぼく」。
翌朝の布団も、おねしょでぬれていた。
お母さんは、顔を曇らせ、またやってしまったのか…という反応だ。
そしてまたもおねしょまんがやってきて……。
おねしょまんとお母さんの間で
おねしょをしてしまう子はいつの時代だっている。
なかなか治らずに、心配の種になる保護者も少なくないという。
小学校低学年ぐらいまでは、おねしょでなくても、日中普通に過ごしていてトイレに間に合わない子は結構いるので、おねしょしてしまう子もいるだろう。
しかし、自分のところだけじゃないと分かっていても、心配になってくるのが保護者というもの。
おねしょをしたら、『ばいばいおねしょまん』の最初のほうのお母さんのようについ怒ってしまうかたもいらっしゃるのではないだろうか。
子どもだって、おねしょをしたくてしているわけではないのだが、寝ている間に起こってしまうことなので自分の力ではどうにもできない。せいぜい、子どもにできるのは、寝る前にたくさん飲み物を飲まないとか、トイレに行っておくというぐらいしかおねしょを防ぐ方法が思い当たらないのではないだろうか。
『ばいばいおねしょまん』は、おねしょをしてしまうぼくが、やってきたおねしょまんと水遊びをしてしまって、次の日、起きたらおねしょをしてしまう……という話になっている。
最初はおねしょをして怒られたぼくだったが、その後もおねしょまんはジュースを飲もうとか、魚釣りに行こうとか、言葉巧みに誘ってくる。そのたびに次の朝おねしょをしてしまうのだが、特筆すべきはお母さんの反応が変わってくるというところだ。
最初はカミナリを落とす勢いで起こっていたお母さん。しかし次では顔を曇らせ、「またやっちゃったのね」といった感じのお母さん。その次のおねしょでは、優しい顔で「お布団干しに行こうね」というお母さん……
そうすると、「ぼく」もおねしょまんとの付き合いにためらいを見せるようになる。
そして、ついに、おねしょまんとの遊びを断るようになるのだ。結果、「ぼく」は、次の朝はおねしょをしていなかったのだ!
この絵本の細やかなところは、お母さんの反応と、「ぼく」がおねしょまんと遊ぶことにためらいを見せるようになることの、明確な関連性を描いていないところだ。でも、「ぼく」の行動が変わったのは、お母さんからの働きかけに関連があると言外に表現している。それほど、お母さんの反応は、子どもにとって大きいのだと表しているのだろう。
おねしょに限らず、粗相をしてしまうと、思わず感情的になって叱責しがちになってしまうが、本書のように、接し方を変えてみたら、また違った結果を得られるかもしれない。しかも、いい方向の結果を。
『ばいばいおねしょまん』も、それを暗に伝えているのではないか。
……でも、頭では分かっていても、つい、感情的に怒っちゃうんだよなあ……。
おねしょを題材にした絵本
主人公の「ぼく」が、おねしょまんと遊ぶのをやめ、おねしょをしなくなるところまでを描いた絵本。
幼児の読み聞かせに向いているだろう。